水たまりのぞけばそこにあるわたし 目線の底でやさしく歪む #短歌
敬語とは距離のやわらぐ温度計 ため息まじりに送る「ですね」 #短歌
パーティーバーレルの底に沈む骨 明るすぎだねこの夜の味 #短歌
塩ひとつまみわけあう鍋の底 友だちはまだ芋を見ている #短歌
カーテンのゆれる理由を話しだす 説得力のないやさしさで #短歌
笑い声ひとつずつにも履歴書のしわが見えたり夜がやさしい #短歌
ぬるい風 金の毛束をとおりぬけ言葉の芯がまだ濡れている #短歌
ため息の形したまま宙にいて指でなぞれば暮れていくだけ #短歌
考えた事も無かったな青空の下でペットボトル立ててみる午後 #短歌
ドアの音 夜の隙間に沈みゆく聞かぬままでも秩序はあるね #短歌
逆立ちをできぬ理由を探しつつ世界はずっとこちらを見てる 短歌
泣き顔のままお湯沸かす音だけがやさしく響くふたりの台所 #短歌
思ってる思ってないの往復でマグカップだけぬるくなってく #短歌
実家にもあった気がする加湿器の音がやさしい夜をまねする #短歌
あの夜の声が世界に残されてYouTubeにて永遠を得る #短歌
既読にもならぬ会話を抱きしめてまぶたの裏でまだ続けてた #短歌
痛風のペンギンゆっくり歩き出す氷の上の慎ましき午後 #短歌
正解のたびに胸から風が出てふたりの距離を少しだけ割る #短歌
私には話しかけんな 風が吹くきょうの街には輪郭がない #短歌
同じとの使いながらもくるくると交わらぬ線がほどけて光る #短歌
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