10月29日、山中湖に向けて自宅を出発。134号線を走っていると、カーステから斉藤哲夫と小田和正のデュエット「グッド・タイム・ミュージック」が流れた。この珍しい組み合わせは小田プロデュースの「クリスマスの約束」で実現したもので、いまネットで調べてみたら2006年12月28日に放映されていた。
その数年後、YouTubeに違法で音声のみの動画があがっていて、私は即座にDLをした。そのmp3ファイルをずっと大事に保存し続けていて、クルマ用の音楽SDカードに入れている。
小田と斉藤哲夫の、微妙に噛み合っていない「グッド・タイム・ミュージック」を深夜、テレビで眺めながら、しんみりとした抒情に浸っていた自分を今でもよく覚えている。
クルマ用のSDカードは、基本、古い曲をあまり入れない方針なのだが、運転中に生温くなる自分の心に活を入れる昔の曲を少ししのばせている。
今回の山中湖滞在では、30日に全戸の管理費請求書をプリント・アウトして最終チェックをし、31日は山梨日日新聞社で全集の打ち合わせをすることになっている。他にもいくつかやるべきことがあって、出発前から「無為なる長い孤独時間」に浸れないのがつらかった。
セカンドハウスに着く。まずはガラス窓すべてを開けて掃除をし、コーヒーポットやコーヒーメーカーをあらためて洗い直し、主だった家具や石油ファンヒーターの表面を水拭きすることから始まる。隣も上も誰もいないリゾートマンションなので、大音響で音楽を流すこともできる。
夜になってちらっと請求書の見直しを始め、すぐに飽きて、ラジオドラマを2本聞いた。
30日、管理人さんと一緒に請求額を”読み合わせ”し、一箇所、簡単な間違いを見つけた。この日はマンションから一歩も出なかった。
31日、午前10時半にマンションを出て甲府に向かった。途中で「吉田うどん」を食べるつもりだったのだが、あいにく定休日だったので、そのまま甲府まで一気走り。
正午過ぎに新聞社の駐車場にクルマを駐め、毎回のように食べている「龍泉」の味噌ラーメンがランチ。
打ち合わせは午後2時40分くらいまで。空を見上げると、天気予報どおりで夕方から豪雨になりそうな気配だった。
いざ山中湖へ。
湖岸近くの大型スーパーでお弁当や総菜などを買い、さらにクルマで日帰り温泉「石割の湯」に寄った。言ってみれば滞在中唯一の贅沢がこの温泉浴だ、
11月1日土曜日。
とりあえずマスト事項だった2件の懸案が終わったので、朝から延々と大リーグのワールドシリーズをテレビ観戦。こたつに下半身をだらしなく突っ込み、”ホタテチップス”なる珍味とコーヒーをちびりちびりとやりながら最後まで見てしまったのだった。これが自宅だと罪悪感めいた気分になるのだが、あばら家に住む孤独な夢想者を演じているためだらしない時間の使い方が妙に心地よい。
夜、出発前に買って持参した島本理生の『匿名者のためのスピカ (祥伝社文庫) 』を読了。ミステリーと純文学とエンターテインメントを3で割ったような面白さで、しかも人間の生きづらさとか狂気とか、善性とか愛とかがいい塩梅で調合された小説だった。
11月2日日曜日。
朝11時、鎌倉に向けてクルマを走らせる。
正午過ぎ、東名大井松田インター近くのラーメン屋「一代」でラーメン。
往きか帰りに必ず1回、ここに入る。老夫婦で営む昭和なラーメン店。
おばさんに小声で「日本でいちばん美味しいラーメン!」と囁くと、おばさんはおじさんに「日本でいちばん美味しいラーメンですって!」とやっぱり小声で伝えていた。
午後2時半、ブックオフ鎌倉手広店着。
鎌倉に無事戻ってきたぁ、という実感に浸る。
本の2割引きセールをやっていた。
で、止せばいいのにどーんと買ってしまう。
頭の中には、今度、山中湖に行ったときに読みたい本、というコンセプトがあった。
11月3日、文化の日。
文化の日であるからして、鎌倉図書館へ。
毎日のように熊出没のニュースを見ているせいか、熊にまつわる小説が読みたくなって、河崎秋子の『ともぐい』を借りた。
で、夕方から読み始めたら、世評どおりに面白い!
一気読みするだけの根性はなかったが、半分読んだ。
11月4日。
インフルエンザワクチンを打ちに近所の医院へ。
鎌倉では地元民はマスクをしているかたが多く、観光客は九分九厘マスクなんぞ着けていない。
公共道徳云々を言いたくないけど、観光客の意識の低さがときどき目に付く。
旅に限ったことではないけれど、人間は少し控えめになるくらいがかっこいいと思う。
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