百枚の名刺が並ぶ雨の午後 どれがわたしの声だったっけ? #短歌
タグついたままのワンピを手に入れてわたしの明日を少し借りたよ #短歌
見覚えのある顔だから笑ってる ぴんとくるまでわたしも他人 #短歌
寂しいを笑って言える夜がある ピザの箱から星がこぼれる #短歌
考えるよりも深くに沈めたよ ちゃんとわかって空を見ている #短歌
ほんとはね嫌いじゃないよでもたぶん言葉が服を着替えられない #短歌
そうだよねって言いながらどこかでは正しさだけを握ってしまう #短歌
落ち着くと言えぬ場所さえ持てぬまま箱の四角に形を合わせる #短歌
見てほしい部分を残し編集すテレビの中の私のほうが #短歌
画面では香りがしない そこにあるパン屋の看板すこし傾く #短歌
半額シールを貼られた牛肉を見て箸が小刻みに震えている #短歌
ポテチとかクッキーとかをむさぼれば君が笑って部屋が明るい #短歌
氷瀑に小雪の舞ってとか言えばニュースも少し詩になる気がして #短歌
冷蔵庫明滅のなか口に入れ甘さの理由を言葉にできず #短歌
苦味が胸にひそむ夏の深夜 ホームの明かりそっと抱き寄せ #短歌
上着とは名乗らぬ布を信じてる味噌のにおいをまだ引きずって #短歌
流し台沈黙ひとつ置いている辞めても使える姿勢とやらを #短歌
生前のわたしがすいませんでした 花の水替え忘れてました #短歌
三階をさんがいと呼ぶひとたちのやわらかき声風にまぎれる #短歌
雨だから帰るねと言うその声のぬるさを傘の内側に持つ #短歌
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