言えぬこと冷蔵庫には肉がある ジュウと煙にまぎれてしまえ #短歌
入口はガラスの奥に隠されて街の冷たさ指先で知る #短歌
武勇伝繰り言の無駄な熱 ビルの隙間の風は冷たく #短歌
猫を抱くやわらかな毛に触れている遠くでワイドショー流れてる #短歌
鏡越し床にひろがる髪の色 帰り道には少し軽くて #短歌
ふくらはぎ粉雪のように散るものを少し愛して少し怖がる #短歌
昼過ぎの時計が示す怠惰さをだれにも言わずに光が包む #短歌
野良犬になったことならないけれど自由はたぶんカレーに近い #短歌
目を伏せて線を読み取る男いて客はうなずき雨の午後かな #短歌
夕ぐれに好きな男の愚痴ひとつ海のひかりに溶けてゆきたり #短歌
梅雨の夜 除湿の風にひとりいて硝子の雨を遠くに聴けり #短歌
ほら飴をひとつあたえてくれながら中学になれと声はやさしい #短歌
ひらがなで悪態ばかり書きつけて消しゴムの粉たまる机に #短歌
ひかりさすのカタログの端めくる手にジャンヌ・ダルクの鎧の髪型 #短歌
離陸してまだ水兵にならぬうちうとうと眠る機内のリズム #短歌
フォークだけ二本出された事ばかり思い返して甘さはにごる #短歌
バス停に着いてもしばらく腰おろし幸福なだるさ風にあずける #短歌
タイマーがまかなってくれるので焦げつく夜を背中で聴いてる #短歌
雨粒も結構あれで忙しい置き去りにした傘のひかりよ #短歌
しかしまだ恋愛禁止ではなくて窓を開ければ誰かの笑い #短歌
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