うるさいわ そういう声もまふしくてご声援ですと応えるひと #短歌
寒空のにおいにまぎれ手の甲のリベアの匂いかすかにしみる #短歌
アンパンマンマーチを聞いて胸のなか平らにおいた石が転がる #短歌
春みたいだからピンクのニット着る胸のどこかがほどけてしまう #短歌
映し出す貧困さえも選ばれて笑顔の影に透けるフィルター #短歌
舗道には捨てられたようソフトクリームわたしの孤独そこに似ている #短歌
聞いてはもう忘れてしまう横文字の名前の店にいた鈴木さん #短歌
しゃもじからひと山うつるあたたかさ君のしずかな声がした午後 #短歌
音階をすこしずつ変え近づいて逃げられない声に包まれる #短歌
冷えきった指先だけが知っている愛しすぎた日の体温のこと #短歌
重たげにはじまる音のエスカレーターため息ひとつ背中でひびく #短歌
わずかなる沈黙ふえる交差点押したボタンに息をあずけて #短歌
撮られてはすぐに戻って笑い合い 再会なんて小さな奇跡 #短歌
ベルマークよごれて眠る川の底 だれかの夢をまだ抱いている #短歌
すり減ったアスファルトには影二つ蹴られる箱の軽さがのこる #短歌
屈み込み窓のひかりにゆれる水 とどかぬ指を見ているだけで #短歌
ことさらに笑って言えば軽くなる食器の色を指でなぞれば #短歌
忘れても支障はないよ そんな過去 ポケットの底砂のようにある #短歌
名前には響きの中の異国めく知らぬ料理も歌のごとしよ #短歌
いらぬ過去最高 風にたゆたう塵のごと払ひのけつつ道をすすまむ #短歌
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