こんなにもおいしげってたパンの耳 かじればふいに午後がはじまる #短歌
ひと袋ふたりで開けてなお残る のり塩色の午後のいたずら #短歌
背の順でいつも前から2番目がラテをのんでは泡のひげする #短歌
みんな見ていると解ればなおさらにみない姿勢の居心地の良さ #短歌
待合室番号札より目立ってる手をつなぐ孫ふたりで笑う #短歌
時計だけやけにまぶしく光ってて眠れぬ夜の主役になった #短歌
三十分待って入れば大げさにうまいと言わねばならぬ気がする #短歌
始球式かろやか投げて当ててしまう観客ぜんぶ笑いに変わる #短歌
横断のタイミングさえ笑顔なり赤から青へゆるんでわたる #短歌
手をつなぎ合わせる目と目を合わせ笑い合い ついでに鳥のまねもしてみる #短歌
誰だってやったことある仕草ゆえフタ取って舐めこっそり誇る #短歌
高すぎて苺の赤もくすみだす手に取ることをあきらめながら #短歌
賞味期限すぎてもなおも黄色くて生姜チューブの声がしそうだ #短歌
温めてなお残りいる冷たさを作りたてじゃないと知る午後 #短歌
ちくわさえ守りたくなる夕暮れに今日のわたしはやや弱ってる #短歌
七分袖着てみて気づくまちがいをごまかすように手首を隠す #短歌
射られたるように目覚めて時計見てまだ夢の中 山が残りいる #短歌
指先の震えが示すこの瞬間ロックンロールはまだ来ぬけれど #短歌
光などなくても燃える瞳あり 深海の底 射抜くような目 #短歌
目を合わせバチゴーンひびくその一瞬確かなものはただの閃光 #短歌
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