さっくりかしっとりなのか選びかねパンくずのなか朝がひらける #短歌
花火とはわかれのかたち しらぬまに夜にまきちらす光のなみだ #短歌
歩いてるアリを見せたい きみがいないまっすぐな道 風ばかり来る #短歌
結局はヤマザキバンのほうを買う 通り雨ふる窓のとなりで #短歌
笑ったらブレーキかけていいのだと言葉の隙間 雲が流れる #短歌
あんたその遊び早すぎないのかとまだ濡れたままの靴を並べる #短歌
町のすみ届いた手紙ひとつだけ冷たい指ににじむインクよ #短歌
校章のシールは剥げて車輪鳴る 門をくぐれば朝の列あり #短歌
街道に散って押花なってゆくふるびた午後をしまいこむ手 #短歌
何部かを言わずにいても背負われて夕陽にひかる髪は長くて #短歌
富士そばの湯気をのぞけば夜の底 この町すべてそこに集まる #短歌
お土産に添えられていたしずかな目以上のものがそこにあったよ #短歌
安全地帯この駅からの境界を知らぬふりしてきみと並んだ #短歌
そういえばあの子の最寄り通り過ぎ夕焼けの色少しこぼれる #短歌
言えぬまま言葉を朝に投げておく空気の色はまだ青く薄く #短歌
ひとりきり降りたホームに音はなく制服の背は風にまぎれる #短歌
お菓子はひとつかじれば音が途切れだす死者の名前は砂糖に沈む #短歌
天使だと信じるだけで朝になる当然ですと君は目を伏す #短歌
肩たたき券二十枚をあげるから君の不在をうすめて眠る #短歌
空を仰ぐことを忘れていた日々をノートの端に書きとめている #短歌
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