平等に季節は巡る 夏の夕 誰にも同じ風がそよぐよ #短歌
濁り水とおくで光る鉄の塔 ゆれるたびまた吸いなおす息 #短歌
冷めてゆく紅茶のなかに沈むもの甘酸っぱさは夢にもなかった #短歌
血管に靴紐絡む夏の夜 先生の指そっと解き合い #短歌
さっぱりとならぬこころを撫でられて櫛の歯の間 ひとつ埃が #短歌
声荒きその呼吸まで似てきみはわたしの骨に母の骨鳴る #短歌
在庫とは君とわたしの間柄 甘さと渋さ並べて眠る #短歌
ゆっくりと灯る戸のしまる音たしかなり雨が忘れてゆくあいだにも #短歌
腰までの水にうかんだ文字たちが履歴のかたちで腐っていく夜 #短歌
雲の影 テーブル越しに移りゆき幸福めいて糸は舞いおり #短歌
海の写真撮るんだってさ笑いながらスマホの画面 潮騒を閉じる #短歌
空の小さい席を選んで今日のことなんとなく足りないことだけ数える #短歌
パリピたち少食なのを見てしまい飲み物だけで更けていく夜 #短歌
制服のまま言うにはおそすぎた なつかしいって話が似合う夜 #短歌
絵の中の水面は澄む夏の朝 心の濁りキャンバス知らず #短歌
大人への階段きしむ夏の朝 ふくらはぎにも日差しが刺さる #短歌
別れぎわ手を振るけれどぎこちなく それがふたりの合図みたいで #短歌
一年も前に賞味期限切れているお土産を渡そうかどうか悩んで早一ヶ月
歌というかたちにならず増えてくる 夏のフレーズが風に揺れてる #短歌
日傘にも雨傘にもなる それだけで今日の空は変わらずそこにある #短歌
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