雷鳴とスプーンの音がまじってる 海の家ってけっこう深い #短歌
地図帳の切れ目に沿ってパンを裂く 大陸移動は昼のテラスで #短歌
わたしより先に夏を知っている シャツのすそだけ陽にひかってた #短歌
黄色とは日暮れの音を孕む色 コーランめくる風の裏側 #短歌
座るにはまだはやいかもしれない となりの水たまりだけが晴れてる #短歌
咲きもせず腐りもせぬを咎めずにやさしさだけを水に浮かべる #短歌
笑みながら色を抜けた絵花火と祖母の声だけ湿りを帯びる #短歌
さよならの数に重なる潮騒はまだ裏側の白きを撫でる #短歌
合図待つ胸の奥まで膨らんで誰にも見せぬ歪んだ秒針 #短歌
Amazonに並ぶ未来の長靴を雨のなかからひとりで選ぶ魔 #短歌
花の名をひとつ覚えて泣き笑い山葵は今日も皿の端っこ #短歌
免許証見せるだけの日々がありTSUTAYAの棚に月が立ち込める #短歌
クッキーを焼くことだけは守ろうよ 引っ越し先にもオーブンがある #短歌
雨粒を乗せたプレパラート 君の街 青信号までが長い #短歌
輪郭をなぞる花束 君の声少し曇って窓の外は午後 #短歌
たい焼きの湯気を抱えて近づいてくこっちの道正しいですか #短歌
金魚の袋 明かりに透かす ほらねってあなたが笑う夏の横顔 #短歌
食品サンプルの方が美味しかっただろう この現実も似たようなもの #短歌
初夏ごと削られた氷 器の底につめたい退屈を沈めている #短歌
フリーペーパー折れないようにする瞬間 世界はどこにも広がらない #短歌
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