告げられてから胸がふくらむ名前ってあるよね 誰にも言えずにいる #短歌
スキップはしないでくださいと燃えていた父のポケットの火薬の匂い #短歌
歯ぐきごとこすってしまう ならべない言葉と歯とはどこか似ている #短歌
きれいに並んだほうがよかったですか わたしの順番は燃えてしまった #短歌
真剣を鞘に収める手がない日 ぶつかりあうしか方法がない #短歌
駆け込んだのに誰と見てなくてその人の呼吸だけが正しかった #短歌
まち針の先がわたしを思い出す 小さく刺さる生きてることに #短歌
噛むたびにちがう音するおむすびでいまを節約している舌先 #短歌
祈ってたつもりはなくてそれなのにこぼれる色はまっすぐすぎた 短歌
うたうたび喉が思い出す 食べてまた生きることしかしていなかった #短歌
歩幅が合うと話せなくなるからと黙ってることが優しさになる #短歌
おまえを「湖」に見てしまった日からひとの顔には波紋が浮かぶ #短歌
うつむいてた じゃなくて見ていた その先に咲いてたことがただ咲いていた #短歌
動かないつもりの背中に風がきてかざしもだけが先に濡れてた #短歌
ひかりがあった だかといって 整っていたことにはならなかった #短歌
考えることをあとにして、力だけ残っているのが今日という日だ #短歌
一個で足りる日々を選んだのにセットの幸福がついてくる #短歌
胸の奥には置けないことを知っていて指が少しずつひらかれていく #短歌
そのときは要らなかった塩分を明日のために浮かべておいた #短歌
渡らない川をはさんで聞いていたまだ続いているらしい国の音 #短歌
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