クリームパンの裏をながめて昔よりまっすぐな声を避けている #短歌
たとえばの話だけれど夕暮れにわたしがコロッケを選んでいたら #短歌
すごく長い猫がいたからやめました 世界の端をまっすぐ歩くの #短歌
おさなごの骨を並べてつくる丘 あねたちの事ひとつも漏らさず #短歌
夕焼けに呼ばれつづけたブランコは揺れて止まらずに母の名を呼ぶ #短歌
ブルーシートが風でうごいてまたとまる神田川にはわたしもいない #短歌
眼科だらけの町で目を伏せている 誰の視界にも入らないまま #短歌
さくらんぼが二つあるのは偶然で発端なんて食べてしまった #短歌
さよならを言えずに過ぎた夕暮れに歯磨き粉の味がなじんでいたよ #短歌
すれちがうたびにちがう足音で恋人の影ばかり濃くなる #短歌
ひかりではなくて音から夜になる 木々をぬけてく声のようなもの #短歌
初恋をフェンスにこすりつけながらボールじゃないほうを見てた背中 #短歌
みかん味のラムネを飲んで忘れたの全部の理由に名前があった #短歌
笑うように命じられてた鏡ごし 天使になるのも向いてなかったね #短歌
たとえば咳 たとえば飴を舌に置き 懐かしさにはかならず裏がある #短歌
少しだけ他人になったその隙に「ふざけんなよ」と呼ばれていました #短歌
ぜんぶ歩けるって日なのに走ってる 青信号に追われるように #短歌
「おつかれ」と言われるたびにほどけてくこの家に鍵はひとつしかない #短歌
音のない駅前にある花壇だけ今日という日をまちがえている #短歌
こぼれずに寄り添うためのかたちとは名をもらうことただそれだけの #短歌
★
ログインしてコメントを確認・投稿する