なにもかも同じに見えて違ってる部屋に差し込むチラシの文字も #短歌
影踏んで誰かと笑ったはずなのに名前も顔も風に消えてる #短歌
海へゆく道しかないと知っていた埠頭の影を誰も踏まない #短歌
照らされて初めて気づく 影ひとつ わたしはまだここにいたんだ #短歌
抱きしめてみても滲まぬ色がある 心の底で光る群青 #短歌
遊具なき広場に影をおいてゆくわたしが子どもだった痕跡 #短歌
ゆらゆらと影とわたしの境界がとけてしまった初夏のこずえ #短歌
チロルチョコ 溶けゆくあいだのしずけさをだれにも言えずうけとめている #短歌
夜更けには耳が光を聴くようでふつりの音が胸でふくらむ #短歌
わたしたち少し青かったころの部屋 夜あけはカーテンのむこうにあった #短歌
やわらかく日々を温めゆくものに窓が曇って味噌汁が沸く #短歌
エンゼルの銀 風をかすめたような午後 うれしいことは声にならない #短歌
抱かれてた記憶のあとをなぞるよう昼の光にゆれるブラウス #短歌
川沿いをゆっくり歩くその理由 だれにも言わずポケットに入れる #短歌
ストレッチする喉ぼとけに見惚れてた泡のうしろで暮らしてる君 #短歌
ただ隣に座ってくれた それだけで氷はそっと水に戻った #短歌
ひとすじの風にたなびく羽の列 恋をみのらす的はここです #短歌
ふわりまた寄せては返す白い布 海を知らない部屋の地平線 #短歌
この恋は器用すぎたら終わるからもつれたままでほどかずにいる #短歌
チョコ味でもないよ苺でもなくって黄緑 分けたい味がないまま #短歌
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