しゃべらないまま湯気だけが立つ夜に誰かのことをきちんと思う #短歌
夏だったね きみのほうからつないできた それだけで日が落ちはじめた #短歌
選ばれずそれでも正しく時を打つ この腕時計に似た人がいた #短歌
たべのこし かたちののこるその部分やわらかくして愛と呼ばれた #短歌
痛みとはやさしさの名をしていてァから始めてまた朝にする #短歌
このかたちでしか愛せないこともある つぎはぎのまま渡すいちごよ #短歌
泣かないでいることだけが強さならきみが眠ればぼくも泣けそう #短歌
モナカから音がしなくて泣きましたわたしも今日を湿らせていた #短歌
ログインのたびに近づくきみのいま知らない好きがふえていく午後 #短歌
記憶ってこんなに軽い布なのか光と一緒にめくれる午後よ #短歌
その声が風になって私の中を通りぬけたのまだ体育館 #短歌
追いつきたくて足をはやめた午後にだけだれかの目線がくるいをくれた #短歌
欠けてからはじめて光を帯びたもの触れてくれたらそれでいいのに #短歌
酸っぱさに耐えられない日もあるよって誰かじゃなくてわたしに言った #短歌
たのしいねって言ってたその手にかさぶたがあっても剥がさないでいてくれる #短歌
口いっぱいに光をためて思ったのわたしは今日もかわいくなれる #短歌
さみしさの穴と知ってて飛びこむのだって今日しか泣けない気がして #短歌
わたしばっかり怒られる理由とか思い出せない手にまだ重さ #短歌
バスケ部の子が言う「無理しただけ」ってその笑いかたがいちばん熱い #短歌
おかあさんと目が合わないまま通りすぎたなにかに似てた昔の背中 #短歌
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