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2024年04月13日03:49

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この映画に描かれた恋愛感情に心を動かされた僕は、やはり“変態”だろうか? レベッカ・ミラー監督「ブルックリンでオペラを」(2023)。

オペラというものに全く興味がない僕は、この映画をパスする予定でした。しかし劇場で映画を見ることが極端に減っている現状をなんとかしなくては、という意気込みで有楽町まで出かけたわけです。ピーター・ディンクレイジが主演というのも注目したポイント。「スリー・ビルボード」など、彼の出演作はいろいろ興味深いもので。

物語については、何も知らずにご覧になるのがいいと思いますから、僕は書きません。ただそれでは未見の方には不親切だと思うので、オールシネマ・オンラインの紹介記事を要約しておきます。“ニューヨークに暮らす夫婦を訪れた予期せぬ人生の一大転機をユーモラスに描くロマンティック・コメディ”なのだそうです。

昔は“ロマンチック・コメディー”と言うと、ヘイズ・コードに規制されたハリウッド映画そのものという“健全な映画”をイメージしました。しかし最近の僕は知っています。たとえば「ティファニーで朝食を」というロマンチック・コメディーが、高級コールガールの話だということを。そして一方でヘイズ・コードは、「サイコ」の下着の色まで規制していたことも。

つまり今回、オペラの作曲が行き詰まったスティーブン・ローデム(ピーター・ディンクレイジ)が、たまたまバーで出会った恋愛依存症でタグボート船長であるカトリーナ(マリサ・トメイ)と接近するのですが、この奇妙な道行きがとても生々しく僕に迫ってきたわけです。ちょうど岡本喜八監督の「結婚のすべて」の新珠三千代の“雑巾がけ”ように。

スティーブンには“潔癖症”で精神分析医の妻パトリシア(アン・ハサウェイ)がいます。そしてスティーブンは、パトリシアの連れ子である息子に対して、きちんとした父親でありたいと願っている。一方で、ガテン系のおばさん船長カトリーナ(マリサ・トメイ)は、頻繁に恋愛依存症を発症させている、という展開でした。

アン・ハサウェイって、僕は「プリティ・プリンセス」(2001)のころから好きでして、「レイチェルの結婚」も大好きですが、「レ・ミゼラブル」あたりはご遠慮申し上げたいと思います。今回も彼女が巨体を生かして夫にのしかかるわけで、映画だから心ときめくけどリアルだったら恐怖だろうな、なんて考えてしまいました。←逆も真なり?

一方、タグボートの船長がマリサ・トメイです。そのカトリーナは“分かりやすい”恋愛依存症で、とても都合よく発症したり回復したりします。そもそも僕は最初、このカトリーナ船長がマリサ・トメイだと気づかなかった。いつもの、口の中で単語が転がるような発声が感じられなかったんだもの。

そしてもう、映画の展開が“我田引水”で“とんでもハップン転んで3分”なのですよ。それで題材がオペラだから、朗々と歌い上げられても僕は苦笑するしかない。そういう、とても楽しい、まさに物語として際立った(=ロマンチック)なコメディーでした。監督はレベッカ・ミラー。はい、アーサー・ミラーの娘で、ダニエル・デイ・ルイスの奥さんですね。血統書付きですがな。

とにかく僕は、ベッドで臥せっている夫に対して、豊満と言うか圧倒的と言うか、存在感抜群のアン・ハサウェイさまが躙り寄るのですよ。この場面を目にしただけで、僕はびっくら仰天、こんなに露骨に描いて委員会、じゃなかった、ええんかいと思いましたね。さらに「イーダ」などの芸術派女優(褒めてます)ヨアンナ・クーリクまで出てるんですよ。

この3女優の立体感溢れる個性を楽しむだけで、この映画を見る価値があると僕は確信しました。これを見逃すのなら、今後女優の魅力については口を閉ざしなさい。でも逆に野郎どもが実に品行方正なので、女性ファンには受けないかも。いや、男女格差と言うよりは、女性上位の映画だと言うべきかな。←いいや“映画は理屈を映さない”のだ!

ということで、侃々諤々討論が展開しそうな映画でした。僕もじっくり語り合いたいと思います。って、誰がつきあってくれるかな? あ、そこの兄ちゃん、待たんかい、逃げんといてや。

余談ですが、キャスティング案として、スティーブ・カレルとエイミー・シュマー、そしてニコール・キッドマンが上がっていたそうですね。キッドマンがアン・ハサウェイか。それも見たい気がするぞ。←その前の二人は外れて結構です。
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