語学の天才、エコロジーの先駆者と呼ばれ、民俗学、人類学、植物学など文理の垣根を超えた多様な分野を対象とし、ネイチャーなどへの論文の投稿によって国際的にも名を馳せた南方熊楠。その研究の多くは「未完」のままであったが、膨大な抜書に見られるように、インプットの尽きせぬ情熱には驚かされる。完成したアウトプットのみを重視し、細分化された狭い分野での論文執筆に追われる現代の学会の風潮とは対照的に、広く万物を知ろうとする、真の意味での「博物学」を追い求め、自由に知の空間を泳いだ熊楠は、まさに知の巨人と言えるだろう。
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