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2024年02月15日00:17

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廃市

語り部の男が過去を回想する。回想の中の男は大学生で、卒論執筆のため夏の日々を柳川で過ごす。知り合いの紹介で寝泊まりすることになった家には年頃の少女と姉夫婦がいるのだが姉夫婦は一向に姿を現さない。姉夫婦は別居していて姉はお寺で暮らしていて夫は愛人と暮らしている。ほどなく男は夫と知り合うことになり地元の祭りの際に、自分が本当に愛しているのは妻であるのに信じてくれない、と語る。その後、男は件の夫が自殺したという報せを受ける。
福永武彦の小説を大林宣彦が監督した文芸作。高校生の頃にテレビで見て以来の再見。元気な少女を演じることの多かった小林聡美が清楚な少女を演じ、後にも先にもこういう役柄は見たことがない。元気な小林聡美の方が好きだけど演技の振り幅の広さは堪能できる。
水の音が常にしている柳川の風景は退廃的に美しい。そんな退廃的な場所で紡がれるメロドラマもまた叙情的で見入ってしまう。
滅びゆく町というのはそれだけでそそられるものがあり、火事で町が焼けてしまった、と冒頭のモノローグでいうが実際に火事になんかなってないだろうし、追憶の彼方の町はそれだけで美しい。映画に残しておくべきもののような気もして、そういう感興を催してしまうのは大林宣彦の演出に乗せられたからだろう。
それにしては音楽が過剰で、そういう面も大林宣彦らしいといえばらしい。
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