バスケットボールにせよアメリカンフットボールにせよアメリカの競技は時間には厳密だ。表示された時間がすべてであり最後の1秒が過ぎれば試合は終了する。
しかし欧州のスポーツは時間がはっきりしない。ロスタイムという概念がありそれを知っているのはレフリーのみ。ラグビーではタイムキーバー制が導入されていても最後はラストプレーが切れるまで試合は続く。サッカーにおいては間違っても相手ゴールに迫るという状況で試合終了となることはない。攻守がひと段落してルーズボールとなった時にレフリーは安心したように笛を吹く。へたなところで試合を終了させれば身の安全が保障されないからかもしれない。
しかしまさに最後の1秒、いや0秒の試合を今日見た。まるでバスケットボールの試合終了タイムのカウントダウンに乗って放たれる0秒シュートのようだった。
昨シーズン優勝のクボタスピアーズを迎えた今日のブラックラムズ東京。10−5とリードして前半を終え、後半は互いに無得点の時間帯が長く続いたが、何度もピンチを凌ぎながらも反則でアドバンテージを奪われながらの苦しい展開。そしてついにトライを奪われコンバージョンも決められた。さらにPGで15−0。
しかし粘るブラックラムズは左サイドからモールで押し込む。あと少しという場面が続いたがここで渾身のペナルティトライを得た。コンバージョンなしで7点が追加されて17−15と逆転に成功。そして残り時間は1分を切っている。
もう相手のキックオフボールさえキープすれば勝ちは間違いなかった。そしてスピアーズは当然10メーターラインを少し超えるオンサイドキックで試合を再開。それをブラックラムズはキープした。あとはホーンが鳴ってボールを蹴り出すだけだ。ブラックラムズファンはカウントダウンをするようにプレーを見つめる。そしてホーンが・・・・
だがそれと同時にレフリーの右手が上がりホイッスルがなった。ブラックラムズのノットリリースザボール・・・・・
スピアーズはこのPGを決めて逆転サヨナラ勝ちとなった。
ブラックラムズは昨年のスピアーズ戦で残り数分というところでPGを得ながらマット・マッガーンが外して敗れている。そして今日は逆にそれを決められてまたしても敗れた。昨年優勝を飾ったスピアーズに対してブラックラムズは最後まで残留争いを演じなんとか降格を免れたが、この両チームは因縁とも思えるほどの接戦を毎回のように繰り広げる。
しかしいつも負けるのはブラックラムズだ。勝負弱さとともになんともいえない愛されキャラのあるチーム。今季で70周年を迎える伝統とともにファンは多い。
もちろん優勝は難しいが、それでも今季のリーグワンを盛り上げてほしいと思う。
2024年1月27日 ラグビーリーグワン 第6節(於 駒澤オリンピック記念競技場)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ18−17リコーブラックラムズ東京
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