100年ほど前のフランスにて、名を成した美食家と住み込み料理人の女性。二人は深い絆で結ばれていて美食家は料理人に求婚しているのだが常に断られている。そんな料理人が作る料理を美食家と友人たちは幸せそうにいただく。
料理を作って食べる、ということを徹底して見せるトラン・アン・ユン監督作。
おいしい料理を食べる、ということは人生の喜び、と思ってしまう。肉の焼ける音、スープを炊く音、野菜を切る音。音楽はかからず調理する音が耳に心地よい。布を頭にかぶって骨付き鶏肉をかぶりついて食べるマナーが楽しい。
料理の才能を感じさせる幼い少女、料理人の病気と美食家の求愛、皇族への料理リベンジ、とストーリーは一応あるのだがそのあたりは結構どうでもいい。料理を作る喜び、食べる喜び、というだけで実に優雅な映画になった傑作。トラン・アン・ユンは寡作なのでもっと映画を作ってくれないかな。
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