神宮スズメの独り言2023秋〜37〜メンタル

4連覇を狙う明治。３カード終えて勝ち点３、勝率でも並ぶ慶應との大一番に明治神宮野球場は１万人以上の観衆を迎え入れた。（東京六大学野球のHPでは１万5000人となっているがこれはかなりの水増し丼報告。これで1万5000人なら早慶戦は4万人になってしまう）

しかし明治の村田君の最近の不調ぶりが気になっていた。第3週の早稲田との1回戦は4回3失点で降板。その3回戦は6回1安打無失点投球だったが、第4週の立教との1回戦も初回に2点を失い5回で10安打を浴びて降板している。これまで4戦に先発して投球イニングの最長は6回が2度あるだけだ。

対する慶應の外丸君もこれまで4戦に先発しているが投球イニングの最短が6回2/3。最長は延長戦となった法政戦での11回無失点という試合もある。

もちろん明治と慶應では選手層が格段に違うためチャンスの場面で投手に打順が廻ればどんどん代打を出せるということもある。しかし2度の完投勝ちがありそのうち1度は完封で自責点は0点台だった春とは別人だ。

そしてその別人ぶりを今日も見せてしまった。外丸君が3人とも平凡なセンターフライに討ち取って迎えた1回の裏。慶應は吉川君が高くバウンドした2塁への内野安打で出るとその後の村田君は滅多打ちを食らった。

廣瀬君の打球はアッという間に深く守っていたレフトがワンバウンドで捕球する強烈なヒット。バントで2・3塁とすると栗林泰三は左中間を破る2塁打であっさり2点を先制。さらに安打と四球で満塁から水鳥君も左中間を破って走者一掃。５−０となった。水鳥君は3塁を狙ってアウトとなったが続く齊藤快太君もレフト前に運ぶ。最後は投手の外丸君が三振に倒れたが2回にも慶應は2安打を放った。内野安打意外はすべて芯を食った鋭い安打だった。

結局村田君は3回で降板し4回からは高須君と大川君が継投、1安打２四球無失点に押さえただけにエースの村田君の乱調がこの試合を決めたとも言える。しかし明治も決して逆転のチャンスがなかったわけではない。むしろ3回以降は1安打しか打てなかった慶應に対して3回に初めて走者を出し得点圏まで進めると明治に試合の流れは傾いていったのだ。

4回にはあっさり2死から外丸君が四球を与えると木本君の打球は1塁真正面の強烈な打球。これを廣瀬君が後ろに逸らした。記録は安打だったが1・2塁として小島大河君がタイムリー。しかし外丸君はこの試合初安打を放った次の堀内君を仕留めて1点止まり。

だが3回以降打てない慶應に対して明治はその後もチャンスを作る。5回は先頭の水谷君の安打と犠打で1死2塁のチャンスを逃すが、7回にはエラーで先頭打者を出しながら併殺。しかし代打の岸本君の安打で繋ぐとさらに代打の吉田匠吾君の打球をセンターフェンス近くまで飛ぶ大飛球。だが慶應の吉川君は落下点に入っていた。ここで吉川君は不自然な形で落球。

時刻は12時を過ぎたあたりだ。神宮をよく知る人ならわかるが正午にはホームベースの真後ろからバックスクリーンに太陽光線が向かってくる。しかも秋口の太陽は低い。恐らく太陽が目に入ったのだろう。記録は3塁打となって明治は2点目を入れた。しかし2死3塁からの更なる追加点はなかった。

外丸君は結局完投した。最初の1点はエラーに近い安打から喫したものであり、2点目も外野手が太陽光線を目に入れての不運な安打によるものだ。しかしそれぞれその最小失点で凌ぐところが外丸君の強さなのかもしれない。

明治は8回も内野安打で無死1塁としながらも3番の宗山君が併殺で3人で攻撃を終えると9回は3人で凡退した。

確かに村田君の不調によって初回に5点を失った。だが明治の投手陣は3回以降を1安打に押さえ攻撃陣も幸運な安打を含めて追加点を奪いさらに得点機はあった。3回以降は明治のほうに・・・

しかしそれを凌いだのは外丸君の冷静で粘り強い投球だった。彼は法政との延長12回引き分けから進化したように思える。11回を投げて5安打無四球無失点。投げ合った相手は法政のエース篠木君。結局は引き分けとはなった試合だったが少しの油断の許されない緊迫した試合を投げ切った自身が彼をここまで強くしたように思う。

今日も不運な失点の場面で堀井監督がマウンドまでいく場面もあったが結局は後続を断って最小失点で押さえた。初回の慶應の猛打よりも外丸君のメンタルの強さが生んだ勝利だった。



2023年10月14日　東京六大学野球秋季リーグ戦　第6週1回戦（於　明治神宮野球場）
明治
000 100 100 = 2
500 000 00x = 5
慶應義塾