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2023年09月23日22:07

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ｼﾞｮｾﾌ・ｱﾙﾊﾞｰｽ

ﾜｰｸｼｮｯﾌﾟで"ひだ折り"を体験しました。

ｼﾞｮｾﾌ・ｱﾙﾊﾞｰｽの授業
～色と素材の実験室～
@DIC川村記念美術館

ﾌﾗｲﾔｰのﾒｲﾝﾋﾞｼﾞｭｱﾙでもわかるとおり、
展示では3つの場所で教育者であったｱﾙﾊﾞｰｽに焦点を当てています。

①ﾊﾞｳﾊｳｽ 1919-1933
②ﾌﾞﾗｯｸﾏｳﾝﾃﾝｶﾚｯｼﾞ 1933-1949
③ｲｴｰﾙ大学 1950-1976

1920年ﾊﾞｳﾊｳｽに入学したｱﾙﾊﾞｰｽはそのまま残って教鞭をとり主に基礎講座を担当しました。
ﾜｰｸｼｮｯﾌﾟで行われていたように
1枚の紙から複雑な形態を作ったり
1つの色が他との関係で様々に見える錯覚を体験したり、
文字通り"素材の経済性"を教えていたといいます。

しかしﾅﾁｽによりﾊﾞｳﾊｳｽが閉じられると
ｱﾒﾘｶのﾌﾞﾗｯｸﾏｳﾝﾃﾝｶﾚｯｼﾞに招聘されます。
こちらがすごい。
講師には Bﾌﾗｰ、ｶﾆﾝｸﾞﾊﾑ、Jｹｰｼﾞ、ﾃﾞ・ｸｰﾆﾝｸﾞetc.
生徒にはﾗｳｼｪﾝﾊﾞｰｸﾞ、ﾄｩｵﾝﾌﾞﾘｰ、Kﾉｰﾗﾝﾄﾞetc.
幅広いﾘﾍﾞﾗﾙｱｰﾂ教育を行い、教えるというよりともに創造する実験の場であったようです。

図録にも論考を掲載している沢山遼さんの講演を聴きました。
(論題「ｼﾞｮｾﾌ・ｱﾙﾊﾞｰｽと形態群の芸術」)
お話はｱﾙﾊﾞｰｽのみならず同世代の欧米美術についても幅広く面白かったのですが、
ｱﾙﾊﾞｰｽをめぐるいくつかのｷｰﾜｰﾄﾞがぼんやりみえました。

◆2つの現実
芸術には客観的芸術と主観的現実があり、
後者には錯覚も含まれ、芸術作品を経験することで出現する。
例えば補色残像にみられるように、色は独立して存在するのではなく相互作用である。
いわば脳内ﾊﾟﾚｯﾄにあるようなもので、どこにも存在しない非存在の場を開くのが色彩である。

◆親色(おやいろ)
西洋絵画においては光をいかに表現するかがながらくのﾃｰﾏであった。
光の三原色は混ざると白く光るが、絵の具で混色すると黒くなってしまう。
ｱﾙﾊﾞｰｽは「正方形讃歌」において混色を行わずに色彩の共働関係を追求した。
彼によれば中間色(子色?)は2つの親色の中間にありどちらの親色からも等距離にある。
色彩の透明性はこの等距離=個々の色の等価性、力学関係が作るものである。

◆2つのｱｿｼｴｰｼｮﾝ
絵画制作において混色をしなかったｱﾙﾊﾞｰｽの姿勢こそ
彼のなかでﾊﾞｳﾊｳｽとﾌﾞﾗｯｸﾏｳﾝﾃﾝｶﾚｯｼﾞという複数の要素を
人間的な共同体を作るという目的のもとに独立して均衡させることに繋がっていたのではないか。

◆形態群
ｱﾙﾊﾞｰｽの「入れ子構造」はｹﾈｽ・ﾄﾗﾝﾄﾞ、ﾚｲ・ｼﾞｮﾝｿﾝ、ﾚｵ・ｱﾐﾉら多くに継承された。

さらにBﾌﾗｰの所謂「ﾌﾗｰﾄﾞｰﾑ」では反復される形態によって構成され、球体故に重力に依拠しないし
ﾙｰｽ・ｱｻﾜのﾜｲﾔｰ彫刻にも上下はない。
人種差別によりBMCにやってきたｱｻﾜは自らを宇宙市民(Citizen of Universe)と称している。
このように形態論から階層を乗り越える平等性の実現、階層秩序の無効化が貫かれるﾃｰﾏの1つとなった。

その他ﾃﾞｭｰﾗｰの座標操作による形態変化
→ｸﾚｰによる同一形態の変異(ﾒﾀﾓﾙﾌｫｰｾﾞ)
等々継承されてゆく伝統についても興味深いお話を聴くことができました。

11月5日まで。
https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition/

常設ではｱﾙﾊﾞｰｽに関連して110室で
★ｼﾞｮﾝ・ﾏｸﾛﾌﾘﾝ 3点
・ﾌﾞﾘｼﾞｯﾄ・ﾗｲﾘｰ
・ｳﾞｨｸﾄﾙ・ｳﾞｧｻﾞﾙﾘ
・ｿﾙ・ﾙｳｨｯﾄ
が見られるほか

105室で
★ｼﾞｬｽﾊﾟｰ・ｼﾞｮｰﾝｽﾞ
の《批評家は微笑む》等超ｸｰﾙな作品が5点出ています。