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2024年05月13日09:05
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源氏物語絵巻と初音の調度
3歳で嫁いだ家光の娘の嫁入り道具
徳川美術館展
〜尾張徳川家の至宝〜
@あべのﾊﾙｶｽ美術館
家康の九男・義直が創始した尾張徳川家は将軍を出していないのですが
大大名であったことは、その遺産のすばらしさからもよくわかります。
今回来ているものはどれも大変保存がよい。
なかでも目玉は冒頭に記した
・国宝 初音蒔絵旅櫛箱 と
・国宝 源氏物語絵巻。
国宝 源氏物語絵巻のうち徳川美術館が所蔵するのは三巻、十六段分。
(15)蓬生 (16)関屋 (36)柏木� 銑� (37)横笛 (44)竹河�´� (48)早蕨 (49)宿木� 銑� (50)東屋�´� (17)絵合(詞書のみ)
五島美術館にあるのが一巻、四段分。
(38)鈴虫�´� (39)夕霧 (40)御法。
他には詞書の断簡が各地にあるだけです。
源氏物語は54帖ですからごく一部ですが
それでも12世紀前半の紙媒体が残っているというのはすごいこと。
そのうち今回展示されるのは
・竹河(一)…〜5/12
・早蕨… … …〜5/26
・宿木(三)…〜6/9
・東屋(二)…〜6/23
いずれも物語終盤ですが、修復が終わった本物を見せてくださるのは嬉しいことです。
【展覧会構成】
1.尚武 もののふの備え
2.清雅〜茶・能・香〜
3.求美
4.特別公開 国宝 初音の調度
5.特別公開 国宝 源氏物語絵巻
＊＊＊＊＊
解説講演を聴きました。
徳川美術館学芸部部長代理 吉川美穂氏
「源氏物語絵巻と初音の調度」
今回の展覧会が決まったときにはまだ大河ﾄﾞﾗﾏの話はなかったそうです。
というわけで満席の講演会、まずは紫式部と源氏物語の概略から話を起こされました。
谷崎潤一郎によれば、源氏物語の魅力は
�（�語の筋立てが面白い
�⊃翰�描写が巧み
�Ｊ絃呂�流麗で美意識が高いこと、
だそうです。
そして源氏物語絵巻が描かれたのは完結から500年後のことでした。
源氏物語は繰り返し絵巻物になりましたが、この版の特徴といえば
・和歌と心理描写が大切にされていること
です。
他の例では見映えのする儀式等の場面が多いのですが
絵柄的には地味でも人物たちの心象風景に着目して場面が選ばれているそうです。
具体的な見どころ。
今展示されている《竹河(一)》
一旦は額装されていたものを近年再び巻物に仕立て直した際に
見返しは新調し(梅柄)
螺鈿の軸首も人間国宝に誂えてもらったそう。
ｸﾞﾚｰに見えるところは全てﾌﾟﾗﾁﾅで砂子撒きです。
(しゃがんで見上げて下さい)
次に初音の調度について。
千代姫が生まれた年にこの婚礼調度は発注されています。
翌年に千代姫は尾張徳川家の光友と婚約
その翌年千代姫(3歳)は光友(15歳)に輿入れしました。
これには家光の跡継ぎ問題が
関連しています。
家光は後に 家綱/綱重/亀松/綱吉という後継に恵まれますが、それはいずれも三十代後半のこと。
長女・千代姫が生まれたのは34歳、そのために急がれた婚儀です。
千代姫の婚礼調度として現存するのは
・初音蒔絵調度47件
・胡蝶蒔絵調度10件
・その他黒塗り13件
これは″楷行草″の用途別でしょう。
さらになぜ「初音」が意匠として選ばれたのか。
「初音」は源氏が栄達を極める端�劼任△蝓∪儀遒瞭表饂呂瓩砲眩蟇�しい帖です。
そして明石の姫の、3歳で母と離れ紫の上に養育される身の上が
3歳で輿入れする千代姫に通ずるものとされたのではないでしょうか。
では、今展示されている櫛箱の見どころは。
まず、梨地、平蒔絵、高蒔絵、切金、撒きぼかし、付描、彫金貼付…と技のﾃﾞﾊﾟｰﾄであること。
漆は高湿度で固まるので、室にいれることを限りなく繰り返して作られたものです。
さらに、箱の蓋から正面に降りて周囲をぐるりと
年月をまつにひかれてふる人に 今日うぐいすの初音きかせよ
という物語中の歌が入れこまれています。
源氏物語は歌が重要でもあるのです。
＊＊＊＊＊
見事です。
単眼鏡必携で。
6月23日まで。
7月からｻﾝﾄﾘｰ美術館に巡回
大阪展のみのもの、46+
東京展のみのもの、45+
初音の調度と源氏物語絵巻も違うものが出品されます。
https:/
徳川美術館展
〜尾張徳川家の至宝〜
@あべのﾊﾙｶｽ美術館
家康の九男・義直が創始した尾張徳川家は将軍を出していないのですが
大大名であったことは、その遺産のすばらしさからもよくわかります。
今回来ているものはどれも大変保存がよい。
なかでも目玉は冒頭に記した
・国宝 初音蒔絵旅櫛箱 と
・国宝 源氏物語絵巻。
国宝 源氏物語絵巻のうち徳川美術館が所蔵するのは三巻、十六段分。
(15)蓬生 (16)関屋 (36)柏木� 銑� (37)横笛 (44)竹河�´� (48)早蕨 (49)宿木� 銑� (50)東屋�´� (17)絵合(詞書のみ)
五島美術館にあるのが一巻、四段分。
(38)鈴虫�´� (39)夕霧 (40)御法。
他には詞書の断簡が各地にあるだけです。
源氏物語は54帖ですからごく一部ですが
それでも12世紀前半の紙媒体が残っているというのはすごいこと。
そのうち今回展示されるのは
・竹河(一)…〜5/12
・早蕨… … …〜5/26
・宿木(三)…〜6/9
・東屋(二)…〜6/23
いずれも物語終盤ですが、修復が終わった本物を見せてくださるのは嬉しいことです。
【展覧会構成】
1.尚武 もののふの備え
2.清雅〜茶・能・香〜
3.求美
4.特別公開 国宝 初音の調度
5.特別公開 国宝 源氏物語絵巻
＊＊＊＊＊
解説講演を聴きました。
徳川美術館学芸部部長代理 吉川美穂氏
「源氏物語絵巻と初音の調度」
今回の展覧会が決まったときにはまだ大河ﾄﾞﾗﾏの話はなかったそうです。
というわけで満席の講演会、まずは紫式部と源氏物語の概略から話を起こされました。
谷崎潤一郎によれば、源氏物語の魅力は
�（�語の筋立てが面白い
�⊃翰�描写が巧み
�Ｊ絃呂�流麗で美意識が高いこと、
だそうです。
そして源氏物語絵巻が描かれたのは完結から500年後のことでした。
源氏物語は繰り返し絵巻物になりましたが、この版の特徴といえば
・和歌と心理描写が大切にされていること
です。
他の例では見映えのする儀式等の場面が多いのですが
絵柄的には地味でも人物たちの心象風景に着目して場面が選ばれているそうです。
具体的な見どころ。
今展示されている《竹河(一)》
一旦は額装されていたものを近年再び巻物に仕立て直した際に
見返しは新調し(梅柄)
螺鈿の軸首も人間国宝に誂えてもらったそう。
ｸﾞﾚｰに見えるところは全てﾌﾟﾗﾁﾅで砂子撒きです。
(しゃがんで見上げて下さい)
次に初音の調度について。
千代姫が生まれた年にこの婚礼調度は発注されています。
翌年に千代姫は尾張徳川家の光友と婚約
その翌年千代姫(3歳)は光友(15歳)に輿入れしました。
これには家光の跡継ぎ問題が
関連しています。
家光は後に 家綱/綱重/亀松/綱吉という後継に恵まれますが、それはいずれも三十代後半のこと。
長女・千代姫が生まれたのは34歳、そのために急がれた婚儀です。
千代姫の婚礼調度として現存するのは
・初音蒔絵調度47件
・胡蝶蒔絵調度10件
・その他黒塗り13件
これは″楷行草″の用途別でしょう。
さらになぜ「初音」が意匠として選ばれたのか。
「初音」は源氏が栄達を極める端�劼任△蝓∪儀遒瞭表饂呂瓩砲眩蟇�しい帖です。
そして明石の姫の、3歳で母と離れ紫の上に養育される身の上が
3歳で輿入れする千代姫に通ずるものとされたのではないでしょうか。
では、今展示されている櫛箱の見どころは。
まず、梨地、平蒔絵、高蒔絵、切金、撒きぼかし、付描、彫金貼付…と技のﾃﾞﾊﾟｰﾄであること。
漆は高湿度で固まるので、室にいれることを限りなく繰り返して作られたものです。
さらに、箱の蓋から正面に降りて周囲をぐるりと
年月をまつにひかれてふる人に 今日うぐいすの初音きかせよ
という物語中の歌が入れこまれています。
源氏物語は歌が重要でもあるのです。
＊＊＊＊＊
見事です。
単眼鏡必携で。
6月23日まで。
7月からｻﾝﾄﾘｰ美術館に巡回
大阪展のみのもの、46+
東京展のみのもの、45+
初音の調度と源氏物語絵巻も違うものが出品されます。
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