また後半になると混むかもしれないので、早めに平日行く。新美術館自体は二科展で大賑わい。
テート美術館所蔵中心の展覧会は、これまで、ターナー、コンスタブル、ラファエル前派の画家たちだったが、今回は「光 LIGHT」をキーワードにターナーから現代までを集めている。今年春に開催された「ルーブル美術館展ー愛を描く」と対をなすようだ。
会場はまあまあの入り。正面待ちは多少あるが、混み合うほどではない。
Room4(光の効果をみる講義資料や実験的芸術表現、写真表現)の全作品と現代作家の8点を除いては全作品撮影可。
https://tate2023.exhn.jp/
https://www.nact.jp/exhibition_special/2023/tate/index.html
本展は、英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの約200年間におよぶアーティストたちの独創的な創作の軌跡に注目する企画です。
「光の画家」と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーや風景画の名手ジョン・コンスタブルといった英国近代美術史を彩る重要な画家たちの創作、クロード・モネをはじめとする印象派の画家たちによる光の描写の追求、モホイ=ナジ・ラースローの映像作品やバウハウスの写真家たちによる光を使った実験の成果、さらにブリジット・ライリー、ジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン等の現代アーティストによってもたらされる視覚体験にまで目を向けます。
本展では、異なる時代、異なる地域で制作された約120点の作品を一堂に集め、各テーマの中で展示作品が相互に呼応するようなこれまでにない会場構成を行います。絵画、写真、素描、キネティック・アート、インスタレーション、さらに映像等の多様な作品を通じ、様々なアーティストたちがどのように光の特性とその輝きに魅了されたのかを検証します。
Room1 精神的で崇高な光
ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー《噴火するヴェスヴィオ山とナポリ湾の島々を臨む》
光と影のコントラストが、鑑賞者に自然への畏敬の念を呼び起こす。
ウイリアム・ブレイク《アダムを裁く神》
ブレイクは20世紀に入って高い評価を受けた詩人・画家。炎の中に現れた神は光を放っている。
ジョン・マーティン《ポンペイとヘルクラネウムの崩壊》
こちらも闇と光がドラマティックだ。
ジョセフ・マロウド・ウイリアム・ターナー《陽光の中の天使》
ジョセフ・マロウド・ウイリアム・ターナー《湖に沈む夕日》
風景画家ターナーは後半年ますます抽象的な作風になり、光をどう描くかを探求して行った。ほとんど抽象画のようだが、確かに夕陽に照らされる湖面と空を感じることができる。
Room2 自然の光
ジョン・コンスタブル《ハリッジ灯台》
雲の画家コンスタブル展は記憶に新しい。自然に忠実に光を捉える。
ジョン・リネル《風景(風車)》
ジョン・エヴァレット・ミレイ《露に濡れたハリエニシダ》
「木の霊が放つ強い声」に着想を得たという本作、神秘的で吸い込まれる光、本日の妄想お持ち帰り。
ウイリアム・ホルマン・ハント《むくなる幼児たちの勝利》
キリスト降誕を恐れたヘロデ王が2歳以下の男児を皆殺しにする令をだしたので、幼子イエスを連れてエジプトへ逃避行する話。周りにいるのは殉教者となった幼児たち、あどけない彼らは皆神の救済でそれぞれ光り輝く。
そして、印象派の登場
ジョン・ブレット《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》
水平線が画面の中央に。雲間から降り注ぐ光が神秘的。何より反射で光る水面が美しい。
ジェームス・アボット・マクニール・ホイッスラー《ペールオレンジと緑の黄昏ーパルパライソ》
色と形の調和
クロード・モネ《エプト川のポプラ並木》
異なる光の条件下で同じ主題を何度も描いたモネ、積藁と同様このポプラ並木も。シリーズ完成前にこの並木が伐採されると聞き、自ら費用を負担して残してもらった、というエピソードがある。
フィリップ・ウィルソン・スティーア《浜辺の人々、ウォルバーズウィック》
アルマン・ギヨマン《モレ=シュル=ロワン》
草間彌生《去ってゆく冬》
鏡で構成された立方体には穴が空いていて、それを覗くと内部で鏡が光を反射する様子を見ることができる。
覗いた穴の中と立方体表面の鏡に映る人々。
Room3 室内の光
窓から入ってくる光の効果などを作品に取り入れることで、人同士のつながりや、個人の内面を映し出す。
ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内》
ウィリアム・ローゼンスタイン《母と子》
Room4 光の効果
こちらは写真撮影不可。
ターナーが教材向けに作った、影のついたさまざまな立体図や、二つの透明な球における反射など、絵を描く上でとても勉強になりそう。
バウハウスでは、幾何学的な形態を用いて光と色の関係を考察。動く光を用いた動的な写真表現など。
Room5 色と光
ワシリー・カンディンスキー《スウィング》
ペー・ホワイト《ぶら下がったかけら》
ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ペインティング(726)》
Room6 光の再構成
20世紀にはアーティストたちは電球に光との新たな関係性を見出す。
デイヴィッド・バチェラー《ブリック・レーンのスペクトル2》《私が愛するキングス・クロス駅、私を愛するキングス・クロス駅8》
オラファー・エリアソン《黄色vs紫》
透明な黄色と紫の丸いガラスがゆっくり回る。ライトを当てると壁に映ったガラスがいろいろ表情を変える。
ジェームス・タレル《レイマー・ブルー》
金沢21世紀美術館にある《タレルの部屋》は大好きな作品だ。こちらは暗い部屋にボーッと浮かぶブルーの「枠」。タレルは「対象、焦点、イメージもないのにあなたは何を見るのか?」と問いかけるけれど、《タレルの部屋》の空のように、いつまでも眺めていられる不思議。
(ネットから借用)
Room7 広大な光
オラファー・エリアソン《星くずの素粒子》
鉄骨製のフレームでできた多面体のなかにガラス製の球状多面体が埋め込まれていて、それがゆっくりと回転することで、キラキラとした反射光が、まるでミラーボールのように展示空間全体に映し出される。
タレル《レイマー・ブルー》と同様、いつまでも見ていられる気がするのは、人はやはり「光」を求め、癒やされているからなのか。電気のない時代、闇に対抗するように射す光は崇高さを湛えていたし、印象派の画家たちは自然光をいかにキャンバスの上に留めるかに腐心した。光は、目の前のそのものだけでなく、心の内面をも映し出す。
ターナーから現代まで、現代はちょっと苦手と思っていた私が十分に楽しめた展覧会だった。
10月2日まで
アルバムあります!
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000120852164&owner_id=2083345
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