Ｔｈｅ　Ｓｏｎ／息子

ニューヨークでバリバリに活躍している弁護士は離婚して新しい妻と幼い子供と充実した人生を送っている。ある日、別れた妻が弁護士の元を訪れ、高校生の息子の様子がおかしいと伝える。弁護士が息子に会ったところ、息子は父親と一緒に暮らしたいという。息子は父親と新しい妻と赤ちゃんと一緒に生活を始めたところ笑顔も戻って治ったかと思われたのだが、新しい学校には一日行っただけで不登校の日々が続いている。弁護士の父親は仕事の都合でワシントンＤＣに行った際、年老いた父に会うのだが、横暴な父親の言動は自分が息子に対して言っていることと同じだと気がつく。父親は息子をやむなく病院に入院させるのだが息子の方は泣いて退院を訴える。
前作「ファーザー」で認知症の老人から見た家族を描き高い評価を得たフローリアン・ゼレール監督の新作。自身の戯曲による家族３部作の２作目とのことなので、数年後には３作目も出来るのだろう。
本作は父と子の関係を息詰まるような緊張感で見せていき、心の病に真っ向から対峙する。対峙したからといって解決できるような問題でもなく、どうすればいいのか主人公同様にわからない。何という苦しい物語か。
前作で認知症老人を演じてオスカーを獲ったアンソニー・ホプキンスが主人公弁護士の冷徹な父親を演じる。短い出番ながらさすがの貫禄だわ。