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2022年07月04日08:05

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ｲｽﾗｴﾙ博物館所蔵のﾋﾟｶｿ

ﾊﾟﾅｿﾆｯｸ汐留から巡回してきましたので初日に行きました。

ｲｽﾗｴﾙ博物館所蔵
ﾋﾟｶｿ～ひらめきの原点～
@佐川美術館

長命で作風も次々と変化した巨匠の作品を
時系列にそってﾓﾁｰﾌや着想源から紹介する展覧会です。

Ⅰ 初期青の時代とﾊﾞﾗ色の時代(19-25歳)
Ⅱ 分析的ｷｭﾋﾞｽﾑ/総合的ｷｭﾋﾞｽﾑ(29-39歳)
Ⅲ 新古典主義ｼｭﾙﾚｱﾘｽﾑｳﾞｫﾗｰﾙ連作45(39-55歳)
Ⅳ 戦時期ﾄﾞﾗﾏｰﾙ、ﾌﾗﾝｿﾜｰｽﾞｼﾞﾛｰ(56-72歳)
Ⅴ 晩年ｼﾞｬｸﾘｰﾇﾛｯｸ、闘牛、ﾊﾞｯｶﾅﾘｱ、画家とﾓﾃﾞﾙ、347ｼﾘｰｽﾞ(71-89歳)
※西暦表記でなくﾋﾟｶｿの年齢表記にしたのは個人的な好みです

印象に残った作品いくつか。

◆ｻﾛﾒ
初期ｻﾙﾀﾝﾊﾞﾝｸ時代のﾄﾞﾗｲﾎﾟｲﾝﾄです。
数々の作品になっている題材ですが。
画面左上にがっしりしたﾍﾛﾃﾞ王と縦長いｻﾛﾒの母ﾍﾛﾃﾞｨｱｽ。
中央にｱﾗﾍﾞｽｸのﾎﾟｼﾞｼｮﾝ、というより曲芸師のような生硬なﾎﾟｰｽﾞをとるﾇｰﾄﾞのｻﾛﾒ。
右下にﾖｶﾅｰﾝの首の載った盆を持って座る老いた召し使いの女。

繊細な細い線で描かれている人物たちは鑑賞者を含め誰も視線が交わっていません。
流れるような斜めの構図と、次第に筆多く描き込まれていくことで自然と導かれる鑑賞者の視線。

◆ﾌﾗﾝｺの夢と嘘 Ⅰ Ⅱ
戦時期の作品としてこれだけ2点、
真紅の壁に展示されていました。
当初はｶｯﾄして流通させるはずだった
9つの絵葉書ｻｲｽﾞの絵が並んでいます。
泣く女や牛等、なるほどｹﾞﾙﾆｶだと思わされました。
展示のしかたとして、このすぐあとに透き通るような水色の《海の前の女》があり
そこから水色の壁が始まるのが対照的で素敵でした。

◆ﾊﾞｯｶﾅﾘｱ
ｷﾞﾘｼｬ神話の酒神ﾊﾞｯｶｽの宴。山羊(牛?)、踊る人、ｼﾝﾊﾞﾙを打ちならす人、笛を吹く人が
抽象的な空と大地を背景に並んでいます。
この空と大地の色が繊細で美しい。
ｼｮｯﾌﾟのｸﾞｯｽﾞには鮮やかな《牧神と山羊》が選ばれていましたが私はこちら派。
ﾏﾃｨｽのﾀﾞﾝｽとの違いも際立ちますし。
ﾋﾟｶｿの色づかいはいいな。

◆347ｼﾘｰｽﾞ
86歳で取り組んだという多作なﾋﾟｶｿらしいｴｯﾁﾝｸﾞｼﾘｰｽﾞ。
制作日が作品名になっています。
1968年の4月から5月の3点が好みでした。
情報量が多い。

ﾊﾟﾅｿﾆｯｸ汐留では一部作品の撮影が許されていたそうですが
佐川美術館では一切禁止。
いかなる筆記具によるﾒﾓをとることも許されません。
荷物はA4以上の大きさのものは入口ﾛｯｶｰに入れるよう指示されます。
まあｼｮｯﾌﾟはその外にありますのでなにも要らないといえばそうなのですが。

9月4日まで。
その後長崎に巡回。
https://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/2022/05/post-128.html

ｺﾚｸｼｮﾝ展示も同じ予約ﾁｹｯﾄで観られます。
・生誕110年佐藤忠良展
("帽子"も3つ!)
・平山郁夫館
のほか、なんといっても

◆樂吉左衛門館15周年
十五代吉左衛門樂直入展

がよかった。
《守破離》の額にはじまる
《守破離の彼方》《昼の航海》《夜の航海》《破の守》《破の破》《離》という6つの展示室。
箆づかいで圧倒した十五代が令和に代替わりして直入(じきにゅう)となって3年。
ｲﾝﾄﾞﾈｼｱのﾈｲﾃｨｳﾞｱｰﾄやｳﾞｫﾙｽ、
高谷史郎や斎藤隆といった現代美術家と行ってきたｺﾗﾎﾞﾚｰｼｮﾝを辿ります。
落ちた照明に浮かび上がる作品たちに現世を忘れさせるような雰囲気でした。