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2022年02月06日01:36

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中之島美術館

駈け足で見ても3時間半。

開館記念
超コレクション展 99のものがたり
@大阪中之島美術館

フォト

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構想35年余、一時はバブル崩壊やリーマンショックの煽りで頓挫したかに見えた美術館、
難産の末の開館です。

建築設計は遠藤克彦。
立地は国立国際美術館の北隣、ブラックキューブと呼ばれる建物の正面でヤノベケンジの《SHIP'S CAT(muse)》が赤い宇宙服でお出迎えしてくれます。

さて今回は所蔵品の御披露目。
所蔵品6000点のうちから選りすぐり400点が出ています。
展覧会タイトルに騙されてはいけません。作品数は「99」ではなく「400」、
よって鑑賞時間にゆとりが必要です。

限られた数ですが写真撮影ができる作品があります。
・佐伯祐三《郵便配達夫》
・マリー・ローランサン《プリンセス達》
・石崎光瑶《白孔雀》
・花和銀吾《複雑なる想像》
・今井俊満《New York(C)》
・ルネ・マグリット《レディメイドの花束》
・モーリス・ルイス《オミクロン》
・アンリ・ド・トゥルーズ・ロートレック《ムーラン・ルージュ、ラ・グーリュ》
・コロマン・モーザー《アームチェア》
・倉俣史朗《ミス・ブランチ》

上記のうちフライヤーに載っていないものの画像を貼っておきます。
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上から時計回りに、石崎光瑶、花和銀吾、モーリス・ルイス、今井俊満。
この中では花和のアッサンブラージュが好きですね。

あ、もちろん踊場などにあるフラナガン《ボウラー》やヤノベケンジの巨大彫刻《ジャイアント・トラやん》も撮影できます。

その他個人的に印象的だったもの。
★★石丸一《卓上風景》
☆池島勘治郎《帽子と金魚鉢》
★★ジョセフ・コーネル《無題(月の表面)》
★★ジャン・フォートリエ《永遠の幸福》
★★マーク・ロスコ《ボトルグリーンと深い赤》
★ジャン・ミシェル・バスキア《無題》
★鴨居玲《街の音楽師》
★吉原治郎《子供たち(花と子供たち)》
この吉原は明るいセピアの大画面に子供が三段、8人。
画用紙を差し出していたり、紙切りをしていたり、あや取りをしていたり、本を読んでいるふうで逆さまに持っていたり。
つまりちょっと「らしくない」作品なのが珍しくて。
ところで鴨居玲ってシュールレアリスムの画家に入るの?

講演会を聴きました。

熊田司(美術史家)
熊田氏は福山美術館をへて1990年から大阪市立美術館
建設準備室主幹をつとめた方です。よって裏話がいろいろ飛び出して面白かった。

そもそも1983〜88大阪市に山本發次郎コレクションが寄贈されたのが美術館建設のきっかけでした。
同コレクションには佐伯祐三が42点、里美勝三が7点、原勝次郎16点、その他多数の墨蹟や染色資料がありました。
そこでこれをもとに美術館を作ろうという構想が生まれたのです。
その後も「田中徳松コレクション」「高畠アートコレクション」等が寄贈されたり、サントリー美術館が撤退してからそのポスターコレクションが寄託されたりしましたが、
根本的には一からコレクションを作ったのが準備室でした。

バブル期にはモディリアーニの《髪をほどいた横たわる裸婦》を19億三千万円で購入したのが話題になったり。
しかし今なら100億だそうで買っておいてよかったようです。

コレクションを作る、というのはお金さえあればできるのではありません。
収集方針をハッキリさせた上で
目、ネットワーク、信用、運も必要です。

今では6000点となったコレクションですが、熊田氏は各々の美術史区分について
この時代では◯◯が欲しかった、××の代わりに△△を入れた、と具体的に「まだまだ足りないところ」を話されます。
マーク・ロスコでは画商で同じ値段の2点を見せられ、もう片方の方が色々な印刷物に載っていたのですが
「こちらにしました。これで良かったのでしょうか」。
ちなみにもう片方は和歌山県美に行ったそうです。
公立美術館では手続きも大変なようですね。



流れとしてポスト印象派やフォーヴは不足している部分ですが、そのなかで
・ウンベルト・ボッチョーニ《街路の力》
はキュビスム後に現れた未来派としてテートモダンやポンピドゥーへも貸し出した名品だそうです。

バスキアも「買っておいてよかった。今では手がでない」。
このバスキアと荒川修作、フランクステラ《最後の箒》等が展示された画像が映され
「これについて面白い話があるのですが時間が来ましたので終わります」
ってえええ???すごく気になるじゃありませんか!!

Q&Aでは
隣接した国立国際美術館と似かよっていて違いがわからないという質問が出ました。

これについては菅谷富夫館長からも
近現代美術で優れたものを集めようとすれば重なるのはあたりまえ。コレクションの塊のなかでどう位置付けるかで美術館の個性が出るというお答えがありました。

個人的な感想として中之島では
・近現代デザインの代表的作品と資料
も収集方針に入っているため、
椅子等の家具の名品が大量にあります。
そのあたりも違うポイントのような気がしますね。

そして、講演会のヒロイモノ。
思わず再入場して見に行ったのは
・ジョルジオ・デ・キリコ《福音書的な静物》。
「図録では作品だけがトリミングされているのでわかりませんが、
額に入っているものの四隅を見ると隙間があります。
キャンバスが平行四辺形なんですね。
キリコは変形キャンバスをよく使います」。おお。

・フランク・ステラ《ゲッティ廟(第1ヴァージョン)》
も川村記念との違いを教えてもらいましたので
次に行くときが楽しみになりました。
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