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2020年09月10日05:22

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公開時には“マカロニ臭”が嫌だったけど、今見直すと風景に感激してしまった。ヘンリー・ハサウェイ監督「ネバダ・スミス」(1966)。

スティーブ・マックイーン主演の西部劇です。マックイーンの出演料が歩合契約になった最初の作品かな。監督はジョン・ウェインやマリリン・モンロー作品でおなじみの“職人”ヘンリー・ハサウェイです。マックイーン扮するマックス・サンドが、両親を流れ者の3人組に殺され、復讐の旅に出るという物語。その殺害シーンなどが、従来のハリウッド映画にはないマカロニ西部劇みたいな残忍さだったと思っていたわけです。

しかし2020年にもなると、もっと残忍な映画があたりまえにありますから、そんな展開よりも美しい山々の風景に見とれてしまいました。35ミリのパナビジョン撮影で、音声はモノラルですが、ハイビジョンテレビなら十分見ごたえがありました。撮影はルシエン・バラードなので、“さすが”と思ってしまいますが、ハサウェイ監督は昔から風景描写の達人だそうで。

主人公マックス・サンドは、廃坑に住みついてわずかな金を掘り出して細々と暮らしている父親サム・サンド(ジーン・エバンス)の息子です。母親が先住民のカイオワ族というあたりもポイント。復讐の旅で出遭う娼婦となった先住民娘(ジャネット・マーゴリン)らから情報を得るし、その仲間に救われる。

マカロニ西部劇では、見るからに汚く性格も悪い薄っぺらな悪役が登場しますが、この「ネバダ・スミス」ではその三人組が、カール・マルデン、アーサー・ケネディ、マーティン・ランドーという“芸達者”たちなのが大きく違う。マルデンとランドーはオスカー受賞者だし、ケネディは受賞こそしていませんが、ノミネート5回という常連です。

復讐の旅という展開なので、女優陣とのからみが短くて不満でした。ジャネット・マーゴリンなんかもったいないと思う。マーティン・ランドーの妻役を演じるジョアンナ・ムーアや、復讐をけしかける叔母ジョセフィン・ハッチンソンあたりは、TV「拳銃無宿」の彩り女優という感じだけど、スザンヌ・プレシェットがかわいそうに思えます。でもヒッチコックの「鳥」と似た立ち位置ですな。

一方、ランドーと対決する場面でのバーテンダー(テッド・デ・コルシア)の貫禄は楽しいし、復讐をけしかける叔母に呆れる叔父(ジョン・ドゥーセット)もいい。復讐旅を嫌う保安官(ポール・フィックス)に、囚人キャンプの独裁者を演じるハワード・ダ・シルバ、その手下の模範囚にパット・ヒングルという、手厚い助演陣がハリウッドの力量だと思いました。L・Q・ジョーンズやストローサー・マーティンには気づかないくらい、ワキ役が多すぎる!←今までで知ってる俳優が10人はいたから、僕には“オールスター・キャスト”ですわ。

この物語はハロルド・ロビンスの小説を基にしていて、そちらを映画化したのがエドワード・ドミトリーク監督の「大いなる野望」(1964)のようです。ネバダ・スミスを演じたのはアラン・ラッド。ラッド主演による「ネバダ・スミス」の映画化も企画されたようですが、ラッドが64年に50歳という若さで亡くなり、実現できませんでした。30代半ばのマックイーンが、推定16歳からのマックス・サンドを演じるというのも、ちと無理があるけどね。

とりあえず2時間10分もある“大作”ですが、ハリウッドの底力というものを示した映画に思えます。この“厚み”は、マカロニ西部劇が逆立ちしても作れない(そもそもマカロニ西部劇は曲芸、曲がってる)と思います。短い出演だけどスザンヌ・プレシェットの“魅力”も味わえたし。←「遠い喇叭」のトロイ・ドナヒューとの濡れ場を彷彿とさせますわ(写真3でおみ足をおすそ分け)。
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