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2020年08月30日21:43

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弘前れんが倉庫美術館

100年前から醸造所と人々を見守ってきたものの気配を感じながら。

Thank you memory
〜醸造から創造へ〜
@弘前れんが倉庫美術館

建築家 田根剛さんが改修再生を手掛けられた美術館。

明治大正期に酒造工場だった煉瓦造りの建物が
戦後、林檎の発泡酒・シードル工場となったもので(朝日シードル株式会社)
1965年まではニッカウヰスキーの工場としても使用されていたそうです。
(2015年吉井酒造から弘前市が取得)
近代産業遺産であった倉庫がアートの舞台となったのは青森出身の現代美術家・奈良美智が2002年から何度か展覧会を行ったことが契機となったよう。

今春オープンの予定が遅れましたが、今年楽しみにしていたもののひとつです。
(会場内撮影可。動画フラッシュ禁止。また奈良コーナーはスタホ&タブレットのみ可)

さて弘前駅から徒歩20分。
煉瓦造りのかぎ型二階建ての堂々たる建物が大きな杉木の向こうに姿を現しました。
屋根は明るいクリーム色。シードルの色ですね。
隣接する吉野町緑地の芝生の緑に煉瓦が映えます。
フォト




外壁の煉瓦は新しい部分もありますが、できるだけ元のものを活かされたのがわかります。

ガラスの自動ドアを入ると

◆奈良美智 A to Z Memorial Dog
青森県立美術館の「あおもり犬」と呼応するような白い大きな犬。
台座に使われているのは酒樽の木材でしょう。

周囲にはいくつかの写真作品
◆畠山直哉 吉野町煉瓦倉庫2017-2019
このシリーズは館内処々にみられました。その場所のかつての姿を示すものでしょう。

エントランス。
工場だけあって天井が高い高い。

本当はこのロビースペースにオトニエルの大きな作品があるはずでした。


代わりにこちらの作品とオトニエルのメッセージビデオ(5月収録)。
フォト



実際に弘前に来て作品の構想をたてられたようです。
弘前の林檎を今まで見たなかで1番美しいと話されていました。
そして林檎が弘前にとってどんなに大切なものであったかも感じたご様子。
そういえばオトニエルの作品ってある意味林檎に似ていますね。

1枚ガラスの自動ドアを抜けて会場で最初に出会うのがジャン=ミシェル・オトニエル。

◆弘前のりんご
◆Hanging Lover
ドローイングと、「この季節に日本で出会う色」を連ねた小品。

展示室の隅には階段の一部
が残されています。




続く展示室は美術館のアーカイブ。
看板、昔の写真、錆びた包丁、火元責任者の掲示、剥がされたタイル、精米早見表、「通路はキレイにものおくな」、錠前、…
記憶の欠片が斜めのライン状の低い台に並べられているのは時の流れを表すものでしょう。
ガラスケースに入っていないので、そのものたちの空気が伝わります。
胸にせまるものがありました。

所々の壁に畠山直哉の記録写真。
壁が黒いのは工場時代にタールが塗られていた名残です。

対する壁に映像作品
◆藤井光 建築2020年

れんが倉庫が廃棄物の山から再生され今回の展示が行われるまでを
11分余で見せます。

続く大きなスペースは展示室2つをぶち抜いて大型作品。

◆笹本晃 スピリッツの三乗

工場で使われていた古い梯子や窓枠、ドア等と
シードル工場を思わせる銀色のダクトを組み合わせたインスタレーション。
ガラスのフラスコの中でくるくると回る器。

◆ナウィン・ラワンチャイクン いのっちへの手紙
実際に弘前の街で人々と触れあうアーティストの動画が映されていました。
作品には彼らも登場しているのか。


天井にあるのは
◆イン・シウジェン ウェポン

古着で作られた「武器」。
テラスのような2階に上がって近くでみると、なるほどきっ先にナイフが取り付けられていました。

足元には
◆イン・シウジェン ポータブルシティ

旅行鞄に古着で都市のジオラマを作るシリーズです。
弘前もちゃんとありました。
このシリーズでは作品中にレンズの覗き窓があるのがお約束。弘前の窓からは街の地図が見えています。


そのテラス2階奥には

◆奈良美智 SAKHALIN
最近の奈良は写真にも凝っていますね。
青森と北海道のアイヌ地名をたどる旅がいつしか達してしまったサハリンで。

最後の展示室には
◆ハン・イシュ 弘前エクスチェンジ
上海から弘前の移住した若いアーティスト。
これからが楽しみです。

会場を出ると、工場だった当時の圧搾場が資料室になっています。
今回の出品者のコーナーもありました。
ふと見ると奈良美智の蔵書「NARAライブラリー」も。お茶目だなあ。


カフェとショップは煉瓦造りの別棟です。
フロアから、調理するカウンターとその向こうにかつてのシードルタンクが並んで見えます。
床は落ち着いたテラコッタ色。

そういえば建物が歴史を背負っているせいか、双方の建物で使われている素材も、ロッカーの扉や階段の手摺まで木材や自然のものが多く

また、全体に落とした照明や間接照明が多用され
現代的なホワイトキューブとは一線を画するものでした。

それが現代美術を扱うというから面白くなりそうですね。



展覧会図録はまだできていませんでした。
その代わりと言ってはなんですが、ショップには
奈良美智さんの会場限定マスコットなどがあります。

また、会場内のとある場所で Thank You Memory
のポスターを1人1枚くれます。
フォト


嬉しかったけれど70*103と大きくて持って帰るのが大変でした。

9月22日まで。
https://www.hirosaki-moca.jp/exhibitions/thank-you-memory/

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