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2020年05月18日19:59

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旧友と深夜の長電話

 一昨日の午後10時半、大学の「同級生」(専攻は違うのだが、お隣同士)から電話。この日の午後2時、彼から着信があったのだが、普段から家の中ではスマホを携帯していなくて、夜の10時に着信履歴で知ったのだった。着信はLINE電話とキャリアからの電話。それなら時間も時間だし、LINEで簡単なメッセージを送っておいた。暗に「電話はしなくていい」というようなニュアンスを込めて。
 30分くらい経った頃、彼から電話があった。
「声を聞きたかったもので」
 俺たち、そういう関係じゃないだろうに(笑)。
 話は專ら本を軸に置きつつも近況報告へと流れたり、加齢による「脳」力への不安であったりと、お互い、これまであまり話をしたことがない話題だった。
 大学時代は所属サークルの部室も隣合っていたし、文化系サークル連合の代表者会議で顔を合わていたのだが、その程度の付き合いだった。が、ひょんなきっかけで卒業して3年後、東京で再開する。以来、割と話をするような仲になった。
 こういう相手と喋るのは気楽だ。身構える必要はなく……というか、お互い若かりし頃の恥部を知っているので、小さな嘘や見栄さえつけない。そもそもお互い、今なお大人になりきれていない自身の幼稚さを自覚しているものだから、太宰治的な含羞があって、話がへんに昂ぶらない。
 結局電話は1時間に及んだ。誰かとこんなに長電話になったのは久しぶりだ。私は元々、仕事以外で電話を好んで掛けるタイプではなかった。それは彼もそうだろう、と勝手に想っている。学生の頃から一人でいることを好むやつだったから。
 
 昨日は深夜の長電話が祟ったのか、一日中心身の状態がイマイチで、軽い本を2冊、平行読みをしているうちにほぼ一日が終わってしまった。やるべき作業が予定ではあと10時間ほどあるのだが、とうとう手を付けられなかった。救いはとにもかくにも、2冊の文庫を読了することができたことか。
 夜、YouTubeでラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を、ふたりのピアニストによる演奏を見て聴いた。35分x2で70分。ひとりは HJ Limという韓国籍の女性ピアニスト、もうひとりはAnna Fedorovaというロシアの女性。どちらも若いピアニストで、とくに前者のLimは鍵盤を「叩きつける」弾き方で、音の粒立ち感が神経に障った。しかし、思い直した。自分の技量を誇る若き時代、「どうだ!」という自己顕示は抑えようとしても抑えきれないことが多いものだ。俺もそうだった。俺の友だちもそうだった。
 私は今、若さに嫉妬している。どうしたって取り戻せない野生を腹立たしく思っている。寛容さがなくなっている。

 今日は昨日手をつけられなかった作業をふたたび再開することがまがりなりにもできた。ちょっと疲れたら、中上健次の短編集を開いて1篇を読んでみたり、濃厚ミルク味のキャラメルを噛んだり、ラズリの上にのしかかったりして、気を紛らわせた。
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