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2020年02月07日06:15

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パリが舞台のフランス映画なのに、ほとんどの会話が英語という不思議なコメディー。アマンダ・ステール監督「マダムのおかしな晩餐会」(2017)。

監督のアマンダ・ステールは小説家のようで、日本公開はこの映画だけのようですが、すでに4本監督作があるようです。小説もベストセラーになっているようで、さらにジョニー・アリディーの自伝も書いているらしい。ご主人がパトリック・ブリュエルという俳優さんで、クロード・ミレール監督の「ある秘密」では父親役だったようです。

普通ならパスするところでしたが、トニ・コレットとハーベイ・カイテルがパリに住むアメリカ人富豪夫婦アンとボブを演じるということで、こりゃ面白いかもと思いました。その夫妻が晩餐会を開くのですが、ボブが前妻の息子で小説家のスティーブン(トム・ヒューズ)を呼んでしまい、客数が13人になってしまいます。不吉な数字だということで、アンは給仕頭のマリア(ロッシ・デ・パルマ)を客の一人に仕立てる、という展開。

くれぐれも黙って座っているようにと言いつけるのですが、マリアはワインを飲んで酔っぱらってしまい、場を白けさせそうになるのですが、客の一人の美術鑑定家デビッド(マイケル・スマイリー)がスティーブンの吹き込んだ嘘を信じて、マリアに言い寄るわけです。そしてスティーブンはそれを新作小説のネタにする。

なんか楽屋落ちがイマイチ決まらない作品でしたが、やはりトニ・コレットが面白かった。ハーベイ・カイテルの懐事情が切迫している事実に気づかず(わざとか?)、とにかく晩餐会の成功だけを考えています。マリアに無理難題を押し付けるくせに、“私はずっと民主党支持だから”と言ってのける。←字幕は“リベラル”となっていました。

トニ・コレットも撮影時には44歳。富豪のハーベイ・カイテルのテニス教師として入り込み、妻の座を奪ったという設定です。まだまだひと華もふた華も、という意気込みが僕には適度な好感を与えてくれました。亭主にモーションかけたりするけれど、亭主のボブは若いフランス語教師にぞっこんです。そんな哀感がポイント。

ハーベイ・カイテルも、経済的に切迫しているとはいえ富豪の役でおさまってます。決してスコセッシ作品からのつながりによる富豪とは感じさせない。給仕頭のマリアを演じるのが、ペドロ・アルモドバル作品でおなじみの女優さんで、後年のピカソはこういう女性たちを写実的に描いていたと実感させてくれた人。それを知ってるから、アメリカ的なパイ投げ大合戦で終わるのかと思ったら、いかようにでも取れるラストだったから、ちと驚きました。

とりあえず91分と短いから、さらっと見ることができます。そしてトニ・コレットとハーベイ・カイテルに着目していればそこそこ楽しめるので文句ありません。ロッシ・デ・パルマはオマケと考えましょう。とはいえ、この程度の揶揄だけでは今のアメリカに対しては“蛙の面に○○”なので意味はありません。売れたフランスの小説家の、ほんの冗談でしよう。ということで、御用とお急ぎのない方向けの映画でした。

写真2は映画内にはありません。ハーベイ・カイテルが残った最後の財産である絵画を売るしかないと、「最後の晩餐」(カラヴァッジオ?)を鑑定士に見せるわけで、その絵に模したスチール写真です。写真3は、マリアに言い寄る鑑定士に対してヒュー・グラントの映画を説明するマリア。いくら酒に弱くても、使命を忘れるメイドはあかんで。
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