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2019年09月18日08:52

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こいつらアホや。けど映画バカとしては同じ資質を感じるから捨て置けない。ギレルモ・デ・オリベイラ監督「サッドヒルを掘り返せ」(2017)。

そもそも僕は、サッドヒルと言われても何のことか知りませんでしたし、知ろうとも思いませんでした。ちょうど日本映画に「64(ロクヨン)」という作品があるのを知っても、“ナナハン以下やんけ”と捨て置いたのと同じ。そしてサッドヒルが、パチモン監督として僕が蔑んでいるボブ・ロバートソン監督の三部作完結編のラストに登場すると知っても、食指は動かなかったわけです。

しかし、これがスペイン映画で、たまたま子供のころ「地獄の決斗」撮影現場近くに住んでた野郎たちが、外国からその“聖地”巡礼に来る映画バカがいると知り、自分たちの遊び場にそんなもんあったっけと探し始めたのが発端だということから、少し態度が変わりました。なにせ僕は、神田明神や甘味処まで“聖地巡礼”した人間です。たまたまマンハッタンで飲んでいた場所が、あのアニメ(題名は書かないけど知らないひとには意味ないから書かなくても同じ)に登場したということでウキウキしてる映画バカなんですもん。

サッドヒルは、ボブ・ロバートソン監督がイタリア名に戻して監督した、あの3時間に及ぶエンニオ・モリコーネの音楽ビデオのラストに登場する墓場のことだそうです。スペイン軍がドル欲しさに墓堀に手を貸したらしい。その数5000と言いますから、べらぼうな数です。もちろん一体も死体は埋まっていません。

その現場には、20センチの土が被っていて、連中(捜し求めて来た映画バカと、このドキュメンタリーの製作者たち)にも見つけられない。僕なんか、メタリカのメンバーが冒頭でしゃべりだったので驚きましたけど、メタリカってライブが始まるきっかけに、このモリコーネの音楽ビデオを使っているんですってね。機会があったら見てみます。

なにしろ連中がその墓場だった場所を見つけ、考古学者たちのように発掘していくところが楽しい。石の表面を刷毛で丁寧に掃いている、その愛情の注ぎ方は胸を打ちます。愛する対象が僕とは違うけど、愛するものを愛しく思う気持は通じる。←むしろ対象物が同じだと競い合うから胸を打つなんてことはないかも。

ということで、僕の徒歩圏内にこれがあったら手伝いに行ってたでしょうね。もしかして「荒野のストレンジャー」のロケ地にみんなで行って復興させるのなら、航空運賃を使って行ってもいいと思う。←カリフォルニアのモノ湖に、イーストウッドはセットを組み、その1つのホテルは本建築だったと言いますから、それこそ“聖地”として活用できるだろうに。

しかしまあ、「フリー・ソロ」といい、この作品といい、“こいつらアホや”と思うやつらに感動するなんて、僕はもっとアホやなぁ。

余談ですが、“パチモン”とは香具師仲間の陰語“ぱちもの”が大阪弁になったもので、金銀などの装飾品のニセモノという意味だそうです。たしかに「用心棒」は純金で、「荒野の用心棒」はニセモノですわ。←「用心棒」は「西部劇」の日本風アレンジだけど、24金ですね。ボブ・ロバートソンの場合は、最良の「夕陽のガンマン」でも14金だと思う。なおダミアノ・ダミアーニ監督の「群盗荒野を裂く」は“いぶし銀”と言います。
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