女子に人気のミヤギフトシの新作。
話しているのは誰?
〜現代美術に潜む文学〜
@新国立美術館
日本の現代美術家6人によるグループ展。
表現方法は様々ながら、共通するのは
「作品のうちに何等かの仕方で文学の要素が色濃く反映されていること」
だそうです。
◆出品作家
田村友一郎
ミヤギフトシ
小林エリカ
豊嶋康子
山城和佳子
北島敬三
◆ミヤギフトシ
1981年沖縄県生まれ、アメリカを経て東京在住。
出身地である沖縄、自らのセクシュアリティをテーマとして
映像と写真、音声テキスト、関連するものなどのインスタレーション作品をつくるアーティスト。
小説家としても活動。
今回の作品は
・物語るには明るい部屋が必要で(2019)
5つの映像機、日本語の声はふたりの男性、テキスト映像は英語。
26枚の写真はいずれも沖縄で撮られたもの。
ほぼ人間は写っていません。
何気ない風景がミヤギの物語で心揺らめくものに変わる。
僕と彼の会話。
彼の双子のジョシュ。ということは彼もアメリカ人なのか。
赤い屋根のビル。
いまはないレストランの窓際の席で食べたドリア。
3人で聞いたレコード。
失われた彼の後ろ向きの写真。
母の弾くピアノ。
アメリカの初めての個展に来てくれたジョシュ。
みどりがおか公園のガジュマルの下でジョシュが言ったこと。
それに対して言ってあげられなかったこと。
出版される原稿をもって里帰りしたときのこと。
母のテーブルの上の真っ白なノート。
そしてクラシック音楽がストーリーのなかで重要なモチーフとなっています。
今回はベートーベンのピアノソナタ第32番。
弾けなくてもスコアをみながら音を鳴らすと落ち着くという彼。
現在と過去、自在に時空を超える物語。
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そのほかのアーティストと作品について。
◆田村友一郎
・アメリカ・ニューハンプシャー州のナンバープレート。
・ハンバーガーチェーンの設計資料
の展示を経て大きな空間に展示されているのは
床にずらりと並んだ木製の古いオール。
天井たかく吊られたモニターに映るハンバーガー店の黄色いマーク。
さらに高いところから響くのはまるで神の声。
オールは観る者の幻想のなかで
コーヒーをかき回すマドラーとなり、横たわる人々となる。
◆小林エリカ
原子力をプロメテウスの火になぞらえるのは他にも見られますが。
実現することのなかった東京オリンピックの聖火と
ドイツから届かなかったウランと
その前にやってきてしまった原子爆弾の物語を
テキストとドローイングと写真(本展メインビジュアルでもある)、
映像でたどるところにオリジナリティが。
ストーリー《彼女たちは待っていた》は小冊子として配布されていました。
◆豊嶋康子
・パネル
・棚
など。
本来なら裏側である面を作品にしてしまうのは面白いですが
どこに物語が?
◆山城知佳子
沖縄県生まれ、同地在住。
・チンビン・ウエスタン「家族の肖像」(2019)
これも沖縄にちなんだ32分の映像作品。
基地建設現場で働く4人家族の父親はオペラをうたう。
一方「おじい」と暮らす美術家の身体はタトゥーに覆われている。
◆北島敬三
森山大道門下の写真家。
・EASTERN EUROPE 1983-1984
・USSR1991
・UNTITRED RECORDS
王道。ひとつひとつの作品に物語を感じます。
人々の目元が暗いのは彫りが深いからだけではないでしょう。
11月11日まで。
https://www.nact.jp/exhibition_special/2019/gendai2019/
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