春に観たゴダールの映画 『イメージの本』 完全攻略。
そして圧巻のリヒター
堂島ビエンナーレ2019
シネマの芸術学〜東方に導かれて〜
ジャン=リュック・ゴダール『イメージの本』に誘われて
@堂島リバーフォーラム
ひりひりと焼け付くような日差しのもとではじまる堂島ビエンナーレ。
今回で5回目です。
ゴダールの映画にインスパイアされただけあって、映像作品多し。
従って観るのにとても時間がかかります。
私も3時間以上かけましたがちょっと最後は駆け足になりました。
出品作家
・ゲルハルト・リヒター
・フル・スマート
・フイオナ・タン
・ダレン・アーモンド
・佐藤 充
・空 音央
【ゴダール】
私は方程式を作った。映画は《x+3=1》である。だから《x=ー2》。
過去、現在、未來を問わず真のひとつのイメージを見出すためには、
2つのイメージを削除する必要がある。だから《x+3》は映画の鍵である。
(ジャン=リュック・ゴダール)
4月に公開された巨匠ゴダールの『イメージの本』、
古今東西の映画や音楽、絵画などをコラージュして5章だてにしたものでした。
情報量が多く、当方の不勉強もたたってやや消化不良だったのですが
今回、会場で同映画を上映しながら(11:30と15:30の1日2回)
配られた資料がすばらしい。
5つの章にプロローグ・エピローグを加えてA4・8枚にわたって
文脈と、それぞれのイメージが何という映画(もしくは絵画など)の何であるか
画像つきで懇切丁寧に解説しているのです。もちろん無料。
その資料をよみながら映画を観、88歳のゴダール自身のナレーションを聴くという贅沢。
映像のなかにはゴダールが本作のために新しく撮ったものもあり、あらためて
堪能しました。なお映像の特徴としては、新旧とわず大変荒い画質になっています。
そして流れは混沌とした世界に対する批判精神に満ちています。
【トーマス・ルフ】(1958〜)
ベッヒャー派の写真家。
◆ニューズペーパーフォト
80年代に収集した報道写真のアーカイブから400枚を選んで構成した作品から25点。
文字情報がすべて切り取られているため意味が曖昧化し、観る者の想像力を刺戟します。
【空 音央(そらねお1991〜)/アルバート・トーレン(1992〜)】
◆不条理鏡
共同制作による映像作品。産業振興など古き良き時代のアメリカのイメージで構成されている。
そのほか空音央による、石巻のテトラポットの並ぶ海岸写真を余白をもって額装した作品など。
【佐藤充】(1986〜)
◆クローズ・トゥ・ユー
激しい筆遣い・複雑なイメージの累積。のぞき見る窓に描かれた目と部屋のなかから見返す目。
【ダレン・アーモンド】(1971〜)
◆ヴッパータール空中鉄道
◆オシフィエンチム3月
上下逆転させたのはアウシュヴィッツに向かうモノレール。
そしてポーランドの地方都市にある刑務所前のバス停でのアウシュヴィッツに
繋がるような幻想。
【フィオナ・タン】(1966〜)
中国人の父、オーストラリア人の母のあいだにインドネシアで生まれる。在オランダ。
◆影の王国
◆人々の声 東京
《影の王国》というタイトルは、ゴーリキーがリュミエール兄弟による世界初の映画をみた折の
「私は昨夜影の王国にいた」という言葉からとられたもの。
ルワンダでおきたフツ族によるツチ族大虐殺の生存者の眼を何万枚というスライドにして
山のように積んだアーティストや、元ナチス党員の写真家へのインタビュー等からなる
ドキュメンタリー。
《人々の声 東京》は300余枚の素人写真によるインスタレーション。
選び、構成することがアート。
【ゲルハルト・リヒター】(1932〜)
◆エイト・グラス・パネル
◆アトラス体系1:2
ドイツを代表する作家により50年以上にわたって収集された写真およびスケッチ。
タイトルどおり、リヒターの思考体系を表す地図(アトラス)のようなもの。
今回展示されている台紙は44枚ですが、アトラス全体では800枚を越えているそう。
8月18日まで。
http://biennale.dojimariver.com/
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