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2019年06月24日13:20

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塩田千春

今年前半の個人的ナンバーワン級の展覧会。


塩田千春展:魂がふるえる
@森美術館
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ドイツを拠点として活動する現代美術家です。

塩田千春の作品を初めて見たのは中之島の国立国際だったでしょうか。
その後、神奈川芸術劇場KAATの「鍵のかかった部屋」展(2016)では無数の鍵が下がる
赤い糸を張り巡らした作品のなかに入り込みながら鑑賞し、
豊田市美の「蜘蛛の糸」展(2016)で部屋一杯の黒い糸に絡めとられる
ウエディングドレスたちに息をのみました。
最近では銀座SIXの高い天井から吊られる《6つの舟》を見上げたり見下ろしたり。

今回も始まって早々の反響の高さに期待していきました。

主な大規模インスタレーションは

◆どこへ向かって
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展覧会入り口の吹き抜けに設けられたインスタレーション。
舟のようにみえるものは白い糸をはりめぐらした枠を20数枚並べたもの。

◆不確かな旅
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圧倒するような量で訪れる者を包み込むように張り巡らされた赤い糸。
ゴンドラのような舟はもはや骨組みを残すのみ。

◆静けさの中で
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焼けたピアノ、壊れた椅子。不在なもの存在感。

◆時空の反射
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ドレスのみならず観る者も鏡に映る。なにが虚像でなにが実像か。

◆内と外
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「第一の皮膚は人の皮膚。衣服が第二の皮膚。だとしたら第三の皮膚は居住空間、
人間のからだをとり囲むドアや窓ではないのか」(壁面に掲げられた作家の言葉より)

◆集積-目的地を求めて
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赤い糸でつり下げられたトランクは動力でゆらゆらと動いている。
そのゆらめく影さえ美しい。


作品の中で、赤い糸は人と人とを繋ぐものや血液、
黒い糸は広がる深い宇宙
を表しています。(作者の言葉より)

その他にも

・5歳で描いた絵
・学生時代のドローイング
・自らが作品になるインスタレーション

そして

・初めて糸を使った作品
・病院のベッドに糸を張り巡らしたインスタレーション
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・14mもの泥だらけのドレスをずらりと並べて水を滴らせる作品
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などの記録を写真や映像で見ることができます。

糸を使った作品、
はじめのうちこそデュシャンの「ファースト・ペーパーズ・オブ・シュルレアリスム展」
の展示風景写真を連想したりしましたが、もはや塩田独自の世界ですね。

国内外で舞台美術も手掛けており演目も古典から新作まで様々。

・ソリチュード(2003)
・タトゥー(2009)
・オイディプス王(2009)
・トリスタンとイゾルデ(2014)
・スプリットインザウォール(2016)
・ジークフリード(2017)
・冬物語(2016)
・神々の黄昏(2018)
・松風(2018)

単なる舞台装置でなく作品の空気を表し演出にもかかわるもの。
不在の中の存在を表現してきた塩田の作品に役者が登場する不思議さと、それがしっくりする驚きを感じました。

塩田は近年ガン治療を受けました。
そのあとの作品にはブロンズの人体パーツが登場してきます。

◆外在化された身体(2019)
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展覧会の最後は
◆魂について(2019)

というビデオインスタレーションです。

子供たちに魂について集団インタビューを行い、3分〜5分にまとめたもの。
魂の色は白やら青やら透明やら、というほほえましい答えもありますが

「魂はお腹の中にいるときに親からもらうのだと思う。
そしてだんだん育ってゆく」
「相手のことを思うとき魂は部分的にその人のところにいると思う」
「身体と魂は似ているところと違うところがある。身体が元気だと魂も元気。
でも死んでも魂は滅びない」

子供たち、深く考えているんですね。
思わず何回も観てしまいました。
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ショップでは図録を予約販売しています(8月完成予定)。
通常版のほか、ご本人のサイン入りで赤い糸仕様、トートバッグつきの
シリアルナンバー入り限定豪華版もありました。
ドローイングのリトグラフも売っています。6万。額装つきで10万弱くらい。

10月27日まで。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/shiotachiharu/index.html
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