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2019年06月02日00:16

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キスリング

ルソーのような背景に立つメインビジュアルの少女はコレットの娘。


エコール・ド・パリの夢
キスリング展
@東京都庭園美術館

フォト



キスリング(1891-1953)はなぜか全体の名前で記憶していません。
画風は鮮やかで明確なフォルム、とかアーモンド型の目をした人物像、とか
すぐに思い浮かぶのですが。


それは彼がポーランド生まれのユダヤ人であったからなのですね。
本名はモイズ・キスリング。
地元の美術学校で学び(彫刻科がいっぱいだったので絵画コースへ進んだのだとか)
19歳でパリに出るやあっという間に売れっ子に。
時代はエコール・ド・パリ、モディリアーニやスーチンなどと親しく交わり
(レオナール・フジタとも一緒の写真が展示されていました。ダブルおかっぱ頭)
”絵描きとして苦労していない”という印象。
ただし第一次対戦には従軍して負傷していますし、第二次大戦時は
ユダヤ人ゆえアメリカへ亡命しました。
今回の展覧会では1912年のパリ上京?時代から1953年の最晩年時代までを92点でたどっています。


作品の出所について。
もっとも多いのがジュネーヴのプティ・パレ美術館(14点)ですが
ロジュ・キリオ美術館、セレ近代美術館、ポンピドゥーなどフランスはもちろん
日本でも熊本県美、松岡美、村内美など様々です。
かなりのギャラリーが協力しているところなど、流通しているなと思います。
サトエ記念21世紀美術館(5点)というところは知りませんでした。埼玉にあるのですね。


そして毎回注目する個人所蔵。
もっとも見事なのはアメリカからきた《長椅子の裸婦》(1938)(新館ギャラリー1)。
緑と赤と黒という大胆な背景の前にキスリングらしい肌色の裸婦が
腕枕して横たわります。そういわれればキキに似ているかも。大大迫力です。
このほか13点が名前を出さずに個人蔵となっていました。


はなやかな花の絵やまるでセザンヌ、という静物画もたくさんあります。
これは売れるよね。


そして今回個人的発見だったのがやわらかい筆致。
キスリングといえばくっきりはっきりというイメージだったのは既述したとおりですが
たとえばメインビジュアルでコレットの娘を描いた《ベル=ガズー》(ドレスのチェックが伊勢丹っぽいと思ってしまったw)と並んでいる
《サン=トロペでの昼寝(キスリングとルネ)》(1916)(1階大食堂)。
地面やテーブル、人物の洋服におちる木漏れ日がなんとも繊細。


そして《スカーフを巻いた金髪の少女》(1934)(新館ギャラリー1)。
黄緑のセーターに赤地花柄のスカーフを巻いた金髪に水色の瞳の少女。
あわい光にとけてしまいそうな絵でした。
(ただしこれも図録では妙に鮮やかな色でまったくの別物。印刷の限界でしょうか)


7月7日まで。
https://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/190420-0707_kisling.html



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会場の庭園美術館。
小客室次室(香水塔のあるところ)、書庫、書斎など
作品が展示されていない部屋は撮影可です。
これは姫宮寝室。照明器具、壁、床、暖炉のカヴァーなどどこをとっても美しい。

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