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2019年04月04日14:07

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4/2 パリに生きた銅版画家 長谷川潔展@町田市立国際版画美術館

町田の国際版画美術館は遠くてまだ1度も行ったことがなかったのだが、一度訪れてみたいとかねてより思っていた。このチラシを見て、みてみたい版画、行ってみたい美術館が合わさって千載一遇のチャンス。折しも美術館のある芹ヶ谷公園の桜は満開。
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美術館エントランスには展示室に続く広い階段があり、吹き抜けになっており、横浜美術館に似た造り。想像以上に立派だった。
出品リストはA4ペラではなく、A5の冊子になっていて、各章ごとに代表作を数点カラー刷り、キャプションもすべて載っていたので、書き写す必要もなし。多くが所蔵品で、さすが版画美術館だけのことはある。アクセスさえよければ頻繁に訪れるのだが、駅からもさらに遠いのでなかなか来ることができないのが残念。
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長谷川潔展は充実の内容。会期末であるが、近隣と思しき人しか来ていなかった。勿体無いくらい空いている。
私は浜口陽三のメゾチントが好きで、メゾチント自体が好きな技法となったが、長谷川潔はメゾチントだけでなく、木版から始まって、ドライポイント、アクアチント、エッチング、そしてエングレーヴィングを使用、特にエングレーヴィングをメゾチントと同じくらい多用。
漆黒の中からモチーフを白く浮かび上がらせたメゾチント(彼は「マニエル・ノワール(黒の技法)」と呼んでいる)は彼の精神世界の深部を体現しているようで、対照的に白い部分が多い画面のエングレーヴィングは、ガラスのように硬質で、空気感のない非現実的、でも強い意志を持った世界を構築しているように感じた。黒い世界と白い世界の対比が実に面白かった。
ただ、版画技法についての詳しいキャプションがないのは版画初心者には不親切、常設展示に詳しい解説があったけれど、企画展を見に来る人は版画を知らない人もいるから、2度手間でもこちらにもあったほうがいい。私は最低限の知識があってギリギリセーフ(笑)
展示室内6箇所(1箇所につき3点前後)写真撮影可の作品があった。ここに全部掲載するので長くなるのでご容赦を。
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http://hanga-museum.jp/exhibition/schedule/2019-387
パリで創作活動して評価を得た銅版画家、長谷川潔(1891-1980)の作品122点を展示し、その精神的表現世界を再考します。併せて長谷川が敬愛したルドンや、さらにフランスで交流のあった画家らの作品45点も展示することで、長谷川の創作活動の背景を探りつつ作品の特徴や内容を浮き上がらせたいと思います。
長谷川潔は1910年代半ばに版画家として創作活動を開始、 1918年に日本を去ってフランスへ渡って以来パリを拠点に活動した銅版画家です。サロン・ドートンヌやフランス画家・版画家協会に所属してパリの画壇で高く評価されたほか、フランス文化勲章を授与されるなど、芸術家としての功績がたたえられています。現在は、日本でも版画史上きわめて重要な作家として位置づけられています。
町田市立国際版画美術館は開館まもない1988年に、フランス時代の代表作を多数含んだ長谷川潔の銅版画を約70点収蔵し、その後も50点以上の作品を収蔵する機会に恵まれてきました。それによって、現在長谷川潔作品は、質量ともに国際版画美術館の重要なコレクションのひとつとなっています。
本展覧会はそれらの作品を展示して、この版画家が目指した表現世界を探るものです。その精神性豊かな作品は、情報の海に身をゆだねる現代人の思考のあり方を問うことにもなるでしょう。
第1章 日本時代 版画家へ 1913~1918
第2章 渡仏 表現の模索から確立へ 1919〜1941
第3章 仏訳「竹取物語」 1934(1933)
第4章 長谷川潔と西欧の画家・版画家
第5章 白昼に神(神秘)を視る 1941~1950
第6章 長谷川潔作品への共鳴
第7章 遥かなる精神の高みへ〜「マニエル・ノワール」の静物画 1950年代〜1969

長谷川潔は第一次大戦終結を待って1918年に渡仏。
《金魚鉢の中の小鳥》ドライポイントフォト

それ以来、第二次大戦中を含めて一度も日本に帰っていないという。年譜を見ると1945年に在留邦人として収容所に収監され、翌月に知人の有力者の尽力で釈放されるが心身ともに打撃を受けて制作が停滞、とあり、1958年の東京の個展まで空白。どんな日々だったのだろう。同時代の藤田嗣治の生涯と比べてみるとまた感慨深い。

《丘の上の古村(サン・メーム)》メゾチントフォト
上下左右斜めの線で下地を作るという独自のメゾチント

1930年代の作品
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《聖体を受けたる少女》ドライポイントフォト

《仏訳 竹取物語》エングレーヴィング 
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豪華装丁本。くっきりした線描が格調高く、気品があって美しかった。フジタも本の仕事を多くしていたと先日の展覧会で知ったので、比較しながらみる。
なぜか猫の挿絵が一点あり、気になる。

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上下縦横斜めの線で下地を作ったメゾチント
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平行線で描くエングレーヴィング
拡大するとよくわかる

《一樹(ニレの樹)》ドライポイントフォト
第二次大戦が始まり、在仏の長谷川は物心両面で追い込まれていた中で、1本の楡の木が人間と同等に見えるようになり、万物は同じだと悟り、見える事物に見えない世界を描こうとするようになる。この楡の木は気が遠くなるほどの細かく描きこまれている。
このころからエングレーヴィングが増加。緊張感ある作品が多い。

《ヴェヌヴェル風景》ドライポイントフォト
不思議な木々。その1本1本が人と同じに見えて、描いたのだろうな。

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《開かれた窓》フォト 
《閉じた窓》フォト

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これは《開かれた窓と小鳩》だが、なんと年賀状用。他にも年賀状やクリスマスカード用に作られた作品があり、↓欲しい。
《パリの小鳩嬢(平和と繁栄の使節)(賀状用)》エングレーヴィングフォト

《窓辺の猫》 メゾチントフォト
長谷川の作品には圧倒的に鳥が多く登場。自分自身を象徴しているらしい。猫はこの1点だったが、実際はもっと良い。

《アカシアの老樹》エッチングフォト
神の啓示を受けた楡の木は1941年の作品で、こちらは1954年。違う木だけれど、作者自身のその後を感じる。老樹となっても凛として孤高なり。

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《静物画、仮装したる狐(フィンランド童話)》メゾチント フォト
こちらの狐は撮影不可であったが、こちらも大好き

《水浴の少女と魚》ドライポイント フォト 
1971年この作品を最後に版画の制作に終止符を打っている。「マニエル・ノワール」の静物画が多い晩年の仕事の中でいささか異筆な作品で、制作意図、意味には謎が多いらしい。
初期の作品で、傾倒していたイタリアルネサンスでは、裸体は純潔、明白、天上的霊的なもの、水は生命、浄化、再生を表すと説明があったが、女性の足元ですいっと泳ぐ魚の軌跡に目が止まるみずみずしい作品。素敵だ。

おすすめだが残念ながら4月7日で終了。

常設展示は「浮世絵と百人一首」フォト
こちらもじっくりみたら面白い展覧会。
人気の歌舞伎錦絵を役者の顔だけすり替えて再販
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恐ろしく小さい、ひどく細かい百人一首の浮世絵
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