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2019年03月11日12:25

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奇想の系譜

目指したのは岩佐又兵衛《梓弓》。

寄想の系譜展
〜江戸絵画ミラクルワールド
@東京都美術館
フォト

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混雑しそうな展覧会には一日も早く行くのがモットーですが事情により
前期展示の最終日、NHK『日曜美術館』放送日の朝というギリギリタイミングで行きました。

『寄贈の系譜』を著された辻惟雄先生がかかわられただけあって見事な作品ラインアップ。
伊藤若沖、曾我蕭白、岩佐又兵衛、狩野山雪、長沢芦雪、歌川国芳に
白隠慧鶴、鈴木其一を加えた8人の代表作がずらり。
それぞれが単独で展覧会になるスター絵師ばかりなので
見たことがある作品が多いのですが
これだけまとめて見られるのは値打ちがあります。

会場構成が若冲→蕭白と始まるのも、混雑の中を並んだ人たちに思いやりがありますね。

一番混んでいたのは又兵衛の《山中常磐》かな。
絵巻は仕方ないですね。
まあその辺りはMOAで全巻見ているのでさらりと。

各コーナーで印象に残ったもののメモを。

◆伊藤若冲
前期のみの《旭日鳳凰図》。動植綵絵に先だって描かれ、若冲で1枚だけ選ぶのならこれ、という作品。
どこを拡大しても緻密でそれでいてファンタジックで。
泉屋博古館《海棠目白図》
細見美術館《糸瓜群虫図》
も前期のみ。

◆曾我蕭白
前期のみの《唐獅子図》、展示方法が左右違うのではないかとSNS上での指摘が散見されたもの。
確かに落款の位置からすると逆っぽいのですが
字体が遊んでいるのでそれも含めてかなと。
何より辻先生と山下先生がついていて間違いはないでしょう!
《雪中童子図》の鬼も、ツノから、体幹のシワの描きかた、透明感のある色彩まで改めて感動ものでした。

◆長沢芦雪
一昨年の愛知県美で大規模展を見たので、
プライスさんの《白象黒牛》、《方寸五百羅漢》、厳島神社の《山姥》などと再会の喜びが。


◆岩佐又兵衛
今回のお目当て《伊勢物語 梓弓》。
三年ぶりに帰って来た男が戸を挟んで女と向かい合う場面です。
でも描かれているのは男だけ、それも頬がピンクな又兵衛の"あご男"。沓の向きヘンだし、袴チェック柄でモダンだし。
物語は悲劇なのに面白い。まさに奇想です。
幸いそれほどの人だかりではありませんでしたのでじっくりゆっくり鑑賞しました。
なんでグッズもポストカードもないのかな。宮内庁所蔵だからかしら。

◆鈴木其一
《百鳥百獣図》
初のお里帰り作品が米国のキャサリン&トーマス・エドソン・コレクションから来ていて、これがいいです!
全期間展示とはプライスさん同様いい方ですね。

◆歌川国芳
なんといっても浅草寺の絵馬《一ツ家》。
大きい。


蕭白の《群仙図》が出る後期展示も混雑必至でしょうね。

4月7日まで。
https://kisou2019.jp/

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展覧会の会場外に横尾忠則さんによる寄贈の系譜展へのオマージュ作品があります。
背景は基一の《夏秋》の苔むした木々と渓流、
メインは頭に若冲の鶏冠をいただいた藤井千秋の影絵のような少女。
傍らには蕭白《雪山童子図》の青鬼がサングラスをかけスヌーピーを抱いて座っていたり
遠い水平線から国芳のクジラが半身出して笑っていたり
そもそも作品の設定が、白隠の《達磨》が見ている能舞台、だそうで。
最後に美味しいところもっていかれたな。

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