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2019年02月03日23:07

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新北斎展

六本木ヒルズの森アーツセンターで「新北斎」展。
北斎研究家の永田生慈氏のコレクションを中心とした展覧会。氏は昨年身まかられ、北斎の作品は島根県立美術館に寄贈された。
北斎は活動期が長い上に、浮世絵以外の、絵手本類、刷りもの、本の挿絵などの作品が多数あり、その全貌は明らかになっているとはいいがたい。
今回の展示も、有名な浮世絵より、狂歌絵本、読本、刷りもの(大小暦や、俳諧や狂歌と絵を組み合わせた一枚もの)が多く出版されていた。
前期と後期で入れ替える展示会は多いが、今回は前期の前半と後半でも一部入れ替えるという。
それだけ多くの作品が見られるが、何回も足を運ぶわけにもいかず、図録で全容を知る。

今さらながら、北斎のすごいところは、シリーズ物や定番の題材でも、オリジナリティを感じさせるところだ。六歌仙の小野小町、伊勢物語の芥川、百人一首の歌、富士見西行、いずれも従来の絵柄と異なるのだ。

狂歌などの摺物は、歌の内容と絵の関連を説明してほしい。
実は石川の卒業論文は、柳亭種彦の「阿波の鳴門」という読本について書いたのだが、その挿絵が北斎だった。そして、一見本文には関係のない絵柄の口絵を描いていることを指摘した。
作品のストーリーに山椒太夫の話を取り込んでいるので、本文にはない山椒太夫の一場面を口絵に持ってきたのだ。
この図が種彦の意向か、北斎の発案かわからないが、いずれにしても、単純に物語の一場面を口絵に描くのではない、くふうがあるのだ。
おそらく、狂歌や俳諧の摺物でもそういう面白い組合せがあると思われるが、展示された文章を読むのもたいへんだし、ゆっくり調べるわけにもいかない。
浮世絵研究は、近世文学の研究でもある。




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