昨日はそれまでの暖冬から一転、寒九の雨。関係している出版社を訪ねることになっているので上京。それ以外に目的もないため、先月に切れたカレースパイスを買いに、まず御徒町のアメ横を訪ねた。アメ横には「大津屋」というスパイス界の殿堂とでもいうべき専門店があって、私は2年に3回くらいの割で「大津屋ブレンドカレースパイス」などを買い求めている。独自配合のガラムマサラも秀逸だし、チャイには必須のカルダモンとグローブも安価で手に入れられる。
家を出るときは寒かったので、今年初めてもっこりとしたダウンジャケットを着たのだが、御徒町に着くと、辺鄙な寒冷地から上京してきたお上りさんという風体であることを自覚した。平日の雨降りなのに、アメ横は結構混雑していて、年末恒例のニュース映像で見る「千円、千円、千円、カズノコ安いよ安いよ」という威勢のいい呼び声が聞こえてきた。今年も残り20日あまりか、と実感する。
大津屋でしこたまスパイスを買い、次にアメ横センタービル近いのアジア系市場へ。ここは銀座のデパ地下と真逆だ。怪しげで、魚の腐臭が立ちこめていて、店員の8割はアジア系で、売っているものもおよそ日本の食品とは大違い。鴨の頭が50本くらい詰め込まれたビニール袋があったり(鶏ガラスープをとるらしい)、上海ガニが並ぶ店頭で買い物客と店員が中国語で激しい口調の商談をしていたり。
そもそも一年で最も忙(せわ)しい12月の平日にこんなところにやって来てトウガラシを買おうとしている私。「こんな大人になってはいけない」という典型であろう。
私が贔屓にしている店には、中国産、インド産、タイ産、韓国産のトウガラシが売っていて、店のおばさんに特徴を一通り教えてもらった。チゲ鍋やカシミール風のカレーに使うのに適した韓国産(真っ赤になるほど入れても見た目より辛くない)は、年を追うごとに値段が上がっている。200グラムの粉状トウガラシが400円→450円→500円→550円(今回)。デフレ日本と違って、経済成長が順調である、というしるしかもしれない。
これでアメ横の目的が終わったので、遅い昼ごはんをとることにした。「カツヤ」でカツ丼を食べる。毎回、1カ月くらいの期限がある100円割引き券をもらうのだが、この券を使ったためしがない、残念。
食べ終わってJR御徒町駅から水道橋に向かう。出版社は神保町、水道橋駅から歩いて10分ほど。この間の近況報告と、企画の相談をした。コーヒーと出版社に届いたお歳暮のリンゴをいただいたのだが、その信州リンゴが美味しかった(帰りに1個もらった)。
やがて友人もやって来て、別件で打ち合わせをしているのを、リンゴを食べながら傍観した。
それが終わって、ちょっと話でもしようということになって、百年喫茶店「さぼうる」へ。話は尽きないのだが、午後7時半くらいに解散した。
神保町から渋谷に出て、東横線とJR横須賀線を使って帰宅。
東横線で少しお疲れ気味に見えたご老人に席を譲ったら(つり革を握る手が小刻みに震えていた)、そばにいた奥様からとても感謝されて、なんだか嬉しくなる。世の中、捨てたもんじゃない、というのは本来、私ではなくてご夫妻の言であろうが、ほのぼのとした雰囲気の中に自分がいた、という意味で、やっぱ気分がいいものだ。
家に帰ったら、Amazonで一昨日注文した「ボール型LED電球(透明タイプ)」が届いていた。最近、照明が暗いと小さな字を読むのがしんどくなってきた。少しでも光量が欲しくて、物は試しと買ってみたのだった。
すぐに替えてみたら、思ったとおりに明るくなった。
なかなかに贅沢な一日になったと思う。
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