［付記あり］１１月号「短歌人」掲載歌

　　　　　　　種

八月のみんみん蟬の合唱に嘴太鴉のテノール応ふ

７石のトランジスターラジオより種売る人の種を売るこゑ

詩を宿す種のひとつぶ受け取りぬ名曲喫茶「麦」の一隅

わたくしの体積の分の空間を占めつつじつと臥してゐる朝

そのむかし大いに宣伝されてゐた　やせ薬、ぢやなくて太る薬は

人を人と思はぬ奴も人である　かかる学びの秋もありしよ

富士山も白ヘルだよと革マルの佐々木は言ひき山中湖畔

　　　　　　　　　　　＊　　　　　　　　　　＊

さりげなくくすりゆびからなかゆびへ移されてなほ嵌められてをり

※８首目（さりげなく…）は、１１月の題詠欄（３０文字の歌）より。

［付記］短歌人メンバーの方へ…ひとつ前の記事（マイナスの領収書）のコメント欄での、とうこさんとのやりとり（東京歌会について）をあわせてごらんください。


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