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2018年10月13日23:08

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カタストロフと美術のちから

ちから、とひらがな表記にしたあたり。


カタストロフと美術のちから
@森美術館
フォト



災害やテロなど大きな惨事の前に芸術のできることは何か
アーティストが自らを問うというテーマです。
以下、いくつか心に残ったものを。

第1部 美術は惨事をどのように描くのか〜記録・再現・想像

いきなり瓦礫の山を再現するようなトーマス・ヒルシュホーン作品に驚かされます。
その中にハンナ・アレントやパブロ・ピカソのことばが献じられているので
辛くも客観的な目で見られますが…ちょっと生々しすぎないか。


その点
◆ミリアム・カーン 《原子爆弾》
はタイトルこそそのものでもアート化されている。

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◆宮島達男 《時の海・東北》
は現地に行かないとみられないので模型。
それでも広大な海にLEDの数字が緑色にまたたくという鎮魂と再生の
プロジェクトは宮島達男ならでは。


◆池田学 《予兆》《誕生》
も出ています。(誕生は拡大映像解説のみ)


第2部 破壊からの創造〜美術のちから


アートに何ができるか?ではなく
アートで何をするか!である。


アートでおもいつく限りの可能性に挑んでみる。
壊れた被災地にアートのシャワーを降らせたら
その向こうに、虹は射すだろうか?


つくることは一歩踏み出すこと
つくることは心の色をぬり変えること
つくることは生きること
つくることは明日を変えること


圧巻は
◆アイウェイウェイ 《オデッセイ》
言わずと知れたギリシャ神話にちなむタイトルですが
それを現代の難民問題にうつしかえて鋭く批評。
壁面いっぱいにひろがるテラコッタ陶器の模様のようなスタイルで
描かれた作品は美しい。

フォト



◆ジョルジュ・ルース 《アートプロジェクトin宮城》
インスタ映えするのでネット上にたくさん画像があがっています。
震災後にとりこわしが決まったカフェをアートにしてしまった。


◆ヒワK 《鐘》
イラク戦争の武器を溶かしてイタリアで鐘に鋳造。
ISに破壊された遺跡の文様を再現して。


直接的に被災地をたすける活動も多数紹介。


◆レンゾ・マルテンス 《私の祖父はどのように生き残ったか》
彫刻作品を3Dプリンターでチョコレートに加工、販売収益をコンゴの復興に。


◆兵庫エイド95
阪神大震災の復興のため23人のアーティストがポスターを販売しました。
白髪一雄、横尾忠則、中西夏之、李禹煥、草間彌生、奈良原一高、山田正亮、とか
むちゃ贅沢なラインナップ。


最後は参加型プロジェクト
◆ヨーコ・オノ 《色を加えるペインティング(難破船)》
展覧会のメインビジュアルになっている作品です。
フットカバーをつけて作品のなかに入り、
渡されたクレヨンで未来へのメッセージを書き込みます。
《ウィッシュ・ツリー》のときも思ったけれど、まきこむのが上手いですね。




一通り展示を見たあとは 1部に戻って
◆アイザック・ジュリアン 《プレイタイム》

64分にわたる映像作品を鑑賞。
でも5つのパートに分かれていて
・ファンドマネージャーがヘッジファンドについて語ったり
・オークショニストニアがリーマンショック後の美術市場について語ったり
・ドバイで働くフィリピン女性の話
・バブル崩壊ですべて失ったカメラマン
等インタヴュー的ドキュメンタリーで光と影を描き、どれも興味深いものでした。



1月20日まで。
図録は12月に発行されるようです。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/catastrophe/index.html


同時開催の MAMコレクション008:会田誠+Chim↑Pom で
カラスの屏風(会田誠)もみられます。

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