グランツーリスモ SPORT 不気味の谷
ハンコンを持っていないのでサーキットを走るにしても、パッドグリグリでは、大雑把な走りしかできず、とてもレースをできるような状況にはない。サーキットのようなゆったりしたコーナーが多いコースでは、ハンコンは必須だろうと思う。ダートの場合は、パッドでもなんとか走ることはできる。それでもタイヤの性能が極端に悪いので、なかなか大変だ。横滑りが酷いのだが、横滑りしても、タイヤを回転させれば前には進むはずだが、低速でも、ただただ氷の上を滑るがごとく、ゆっくりと横に滑るだけ。土の上を走っている感覚がないのだ。この違和感は、どうも払拭できない。いろんなラリーゲームをやってきているので、路面の状況による車の挙動の変化は、ある程度は予想もつくし、対応もある程度は、できるのだが、GTSだけは、他のゲームの挙動と違い過ぎて大変だ。同じダートコースで、同じ路面であるはずだが、ある時は、しっとりぬれた土路のようであり、ある時は、硬い土路のようであり、ある時は、氷の上のようだったりする。滑り方に、ルアリティがないというか、空想的なのだ。ゲームなので、どんなゲームでも空想感は、あるのだが、それなりに統一感がある。それがGTSにはないのだ。それなりに走らせることはできるが、楽しくはない。路面状況が同じで、どうして、こんな変なグリップ感になるのか不思議だ。例えば、泥道とか、雪道、アイスバーンの路面など、はっきりと違う路面を幾つか用意すると、その違いを出すため、メリハリの効いた挙動になるのではないか、とも思う。土の路面なのにアイスバーンを滑っているような挙動ではリアリティを感じられないのは当然で、路面の違いを挙動の変化で出せるようにならないと面白みは出てこないのだ。GTSは、ラリーゲームではないので、そこまで要求するのは酷なのかもしれない。タイヤも、もう少しエッジを効かせればグリップもよくなるだろうに、とも思う。GTSは、雪道を走るスパイクタイヤをどう表現するつもりなのだろうか。スリックタイヤでアイスバーンを走るような挙動になるのだろうか。どんなに滑りやすい路面であっても、それなりの走らせ方があるが、ダートに慣れていなくて、走らせ方を知らないプレイヤーには、ただただ無闇にズルズルと滑るだけになってしまい、本当にストレスが溜まるだろうと思う。ダートに慣れているプレイヤーのタイムと、そうでないプレイヤーのタイムでは、相当な開きがあって、これは、レースにならない感じなのだ。タイヤのグリップ感をいじったのは、失敗だっただろうと思う。それで、本当にリアリティが出ているなら、まだ分かるが、それでリアリティすら感じられないのだから、失敗と言うしかない。中途半端に滑るのだ。リアリティを感じさせるには、作らないとダメだ、とは映画などで良く言われることで、写真の発色のさせ方もそうで、記憶は強調されたり、デフォルメされたりしている。表現は、デフォルメや強調を加味することで、人はリアルだと感じるようになるのだ。ダートに慣れているプレイヤーは、GTSのやろうとしていることが分かるので、それに対応できるが、慣れていないプレイヤーは、ただただ戸惑うばかりになってしまう。GTSのやっていることが分かるといっても、それを評価しているということではない。対応できるというだけの話だ。創造の到達点はリアリズムではないのだ。リアリズムを超えたところにある。GTSは、リアリズムに囚われて、不気味の谷に落ち込んでしまった、という状態なのだろうと思う。ディズニーは、3Dアニメで、不気味の谷を超えるために、逆に絵柄をアニメチックにした。そうすることで、物語のリアリティを獲得することに成功したのだ。近づく程に遠ざかり、遠のく程に近づいてくる、不気味の谷とリアリズムの関係は、表現者を悩ます大きな問題でもある。
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