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2017年07月08日21:02

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石川九楊

15年前に比叡山まで見に行った《盃千字文》と再会。



書だ!石川九楊展
@上野の森美術館
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作品1000点、著作100点達成を記念する展覧会です。

エントランスから
途方もない長さの《エロイ・エロイ・サバクタニ》をたどりながら進みます。

一階の主展示室に入ると高さ2mを越える巨大な作品たち。

灰色に染められたでこぼこの紙に書かれた
《言葉は雨のように降りそそいだー私訳イエス伝》。

白い紙に黒い墨、そしてやわらかな毛筆のタッチ。思わせぶりな書の情緒ーそれを私は疑った。言葉をコラージュし、灰色に染めた紙に鉛筆で落書きするように書いた、そこに時代の宿る実感があった。
(同作品傍らに掲げられた言葉)


《李賀詩 感諷五首》(五連作)
星儘四方高 萬物知天晴…といった
五言律詩なのですが、書かれた文字の上に墨が重ねられていて近づかないとそれとわからない。
そして離れると、幅192高さ360の五連作が
繋がっているのがわかります。
バーネット・ニューマンの《十字架の道行き》を思わされました。


作品には他の宗教をテーマにしたものも見られます。

展覧会のメインビジュアルは
《嘆異抄(全文)No.18》
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古典シリーズ「徒然草」の壁の横に掲げられた言葉。

夜の沈黙(しじま)の中でひとり静かに墨を磨れ
心細かったら今もどこかで同じように生きることの悲しみと苦しみとを織り込むように仕事をしている人が間違いなくいることを信じて墨を磨れ

こうした石川九楊の言葉には何度も励まされてきました。



一階の入り口ではビデオの放映があります。毎時
00分〜言葉の界面
19分〜サイン集 その1
23分〜エロイエロイサバクタニ
39分〜サイン集 その2
43分〜源氏物語五十五帖
55分〜サイン集 その3

石川九楊のサインはバラエティに富んでいて本当に面白いので
時間が合えば、是非。お勧めです。
(こんなにバラエティがあってはどうやって真贋を判断するのか心配になるほどです)



二階にあがると圧巻は。

《源氏物語五十五帖》
各巻を59cm×94cmに表した55連作がずらり。
(55というのは《雲隠》を入れたから)
其々が繊細で見事です。
あえかな線の《若紫》
源氏の舞を示す斜行線、後半の垂直線と変化のある《紅葉賀》
新年を寿ぐ晴れがましさに満ちた《初音》
個人を超越する因縁を垂直線で表した《椎本》…

さらに中二階に降りると。

世紀末に書かれた
《カラマーゾフの兄弟》連作

吉増剛三の詩より《生涯は夢の途中》

9.11や3.11に関連する作品

石川九楊は常に時代と共にあり
作品で発言するアーティストだと改めて感じました。


明日は講演会、
会期中「9」のつく日と土日祝は会場にいらっしゃるようです。


7月30日まで。
http://www.ueno-mori.org/informations/article?category=topics&id=830363


図録は二冊組で3000円。
製本が縦と横なのがユニークです。
ご名字の「石川」と雅号「九楊」に分けてサインをいただきました。

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(ポストカード。左より《閑》《罪と罰(回心)》)

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