mixiユーザー(id:6486105)

2017年04月24日21:56

146 view

無料コーヒー、いかがですか?

 金曜土曜日曜と、朝6時半に目覚めた。四方八方から聞こえる鳥の声とカーテンから射し込む光で眠りが妨げられ、二度寝を試みるも叶わなかった。自宅と同じように、遮光カーテンに替えたいと思う。
 さて金曜日の朝。冷え切った室内でのろくさと湯を沸かし、ドリッパーで珈琲を淹れる。新聞がないので、持参した新書を取り出して読んだ。朝イチで読書というのは違和感があるものの、iPhoneでニュースチェックする気にはならない。社会から逃走している感、という落ちこぼれ感を守りたい。落ちこぼれた者を2つに分けると、世の中の事象に関心が異常にある者と異常にない者に分別できよう。前者は社会にルサンチマンがあって自分の位置(地位ではなく社会的な位置)に自信がない人間が多いように思う。後者は落ちこぼれ左派とでも呼ぶべきたわけ者で、銀行強盗も共謀罪も介護疲れによる殺人も自分と直接関係ないことであれば全くの無関心となる。私の場合は、一時的に「左派」の立場をとった。
 30分ほどでお腹が空いてきたので、昨日スーパーで買った卵ロールを食べ、ベランダに置いていたビタミンとロイヤルゼリー配合を謳う炭酸飲料を飲んだ。
 午前11時前まで本を読んだり目が疲れたら拭き掃除をしたりしてから、早めのランチを食べにクルマで出た。15分ほどのところにある「おおもり食堂」に向かった。異様なほどの山盛りカツ丼が有名な大衆食堂で、まともな看板さえない民家風食堂だ。ほとんどの人は店の存在すら気づかないはずだ。この店は昨年にネットを逍遥していて見つけた。
 で、出て来た500円のカツ丼だが、店選びに関して完全に我を見失っていたのだった。私は小食で、しかも肉食系ではない。しかし、おおもり食堂のカツ丼は、厚さ3〜4センチの豚カツで、具がまるで富士山みたいに盛り上がっている。注文の際に「ごはん少なめで」と頼んだのに、丼鉢の6合目までごはんがあった。あまりの衝撃に茫然としつつ、iPhoneで写真に収めておいた。
 結局全部は食べきれず、がっかりしながら店を出て、近くのスーパーへ。晩ご飯用の「のり弁」と紙パックのカルピスウォーターを買ってから図書館へ。他に行くところがない。図書館は大きなログハウスの建物で、本も過疎地の村にしては割と揃っている。雑誌に関しては鎌倉図書館よりも多い。ようやく朝刊(山梨日日新聞)とスポーツ紙を読むことができた。
 1時間ほど田舎暮らしのムックだとかサンデー毎日などを読んで、マンションに戻った。社会とほぼ無縁の状態というのが嬉しくて仕方ない。
 裏山に登って、一面富士砂だけでできた小径でへたり込んで、直径1ミリから大きいものだと3センチくらいある溶岩の粒を手に取って眺めた。溶岩が長年にわたってくだけたものだからカタチが不揃いで、それぞれの粒に趣がある。1990年代、岩手の松川温泉を訪ねた際に地熱発電所を見学し、受付の脇に地下1500メートルの砂粒が売っていたので、自分用のお土産として買った。これは心の宝物で、まだ捨てずに持っている。私は土フェチかもしれん。
 裏山は苔の宝庫でもあって、昨年は一部を切り取って対岸にいる友人にプレゼントしたこともある。苔も近くでよく見てみると実に緻密な美で、10分くらいなら見ていて飽きない。
 マンションでだらだらと朝に読み始めた新書『日本縦断 徒歩の旅』の続きを読む。65歳(当時)の石川は、毎日30キロ程度を歩き、毎晩酒を飲んでいる。新書では途中途中に「目切れ」としてコラムを差し挟む構成なのだが、「酒と宿」というコラムのなかでこれまでの旅でもっとも美味しいと感じた酒を回想している。ノルウェー最北端キルケネスびバーで飲んだアクアビット(ジャガイモを原料とした蒸留酒)、ジブラルタル海峡を渡るフェリーで飲んだビール、ベトナム戦争時のサイゴン・カラベルホテルのバーで供されたコニャックソーダ……。こういう記述を読むと、下戸であるのが少し損な気がする。のむ・うつ・かうをしないこともあって、旅先の感動とか思い出はどうしても薄くなってしまう。
 そうこうしていると、日が暮れてきた。私は一日何をやってたんだ?
 風呂に入ってから弁当にするか、弁当を食べてから風呂に入るか?
 早い晩ご飯だと夜がふけたころにお腹が空くので、先に入浴を済ませた。
 そして、待ちに待ったお弁当。といっても「海苔弁」だ。ただ、地元スーパーゆえに、大手チェーンやコンビニの弁当とはまるっきり素材や味つけが違う。田舎のおばちゃんがこしらえた家庭料理に近い。ありがたくいただく。
 ごはんを終えて、尊敬する年上の友人にはがきを書くことにした。これ以上小さな字は書けない、というくらいにはがきの表と裏にびっしりと文をしたためた。途中で「躊躇」という漢字が不確かだったので、iPhoneに入れているアプリ「コトバンク」という辞書で調べた。そうだ、そうだった。
 はがき一枚に1時間近く費やした。書き終わったら、ひと仕事を終えたような気分になった。
 こんなふうに一日一日を無駄遣いしている。とても贅沢だと思えるし、くそったれだとも思う。
 明日土曜日は管理組合の理事会があって、夜は友人宅を訪ねるということになっている。今日みたいな空白の一日でない分、それなりにちゃんとやらないと。

 で、土曜日の朝になった。
 今朝は湖の対岸にある「ガスト」で朝食の心づもりだ。クルマの運転ができるくらいに頭が冴えてきたところで、ガストへ。
 このファミレスは朝食のメニューが数多く揃っている。フリードリンク制だから珈琲や野菜ジュースもおかわりできる。しかも、讀賣新聞が各テーブルに置かれていて、持ち帰り自由だ。だからなのか、朝は別荘族御用達みたいな雰囲気があって、比較的年配の層が一人で、もしくは夫婦で朝食をとっているのが目に付く。夜になると、地元の不良とビンボー観光客のたまり場で、いずれも該当する私ではあるのだが、まったく行く気にはならない。
 新聞を読みながらの朝食は格別である。ビジホの朝食と同程度の味ではあるが、前面ガラス張りの店内は存外明るく、珈琲片手に目を外にやると気分は軽井沢の万平ホテルだ。左は森、振り返ると朝のすがすがしい光を湛えた山中湖。ウエイトレスは50歳を過ぎたおばちゃんただ一人で、見ようによっては万平ホテルに勤めること30有余年のキャリアと思えないこともない。
 あらかた新聞を読んでしまったが、しかし一応は持ち帰ることにした。
 マンションに戻って、いくつかの用をこなし、午後から理事会と総会。
 どうせ私が議事録というか総会報告を書くのだろうから、メモなんかもとりながら過ごす。というか自身が喋り通し。
 午後4時前に終了したので、一服してから友人宅に行くことにした。
 管理人からは「今日は夜9時くらいから雪になるかも」と言われたので、去年みたいな深夜帰りをしない、と心に決める。彼の家は標高が高く、しかも急坂なので、雪が1センチでも積もってしまうと、ノーマルタイヤの車だと動けなくなるおそれがある。
 友人は私と会うなり、「アニキ−」と嬉しそうできゃっきゃと騒ぎ、まだ日も暮れていないのに飲み始めた。焼酎のお湯割りと牛乳のグラスで乾杯。
 それにしても友人はピッチが早く、そんなに飲んだら体を壊してしまうぞ、と心配になる。酒を飲まないと自分を発揮することができない、ということなども含めると、アルコール依存症であることは間違いない。どうすればいいんだ? やんわりと注意する。が、今日は嬉しいから飲むんだ、と返されると、私は「ありがとう」と言って微笑むしかない。
 1時間くらいが経ったところで、「私に引き合わせたい人」がやって来た。昭和28年生まれの村民で、始末の悪いことに「人生はトリップだ」という自己紹介をいきなりされて、これまた面倒臭いヤツだな、と思いつつ、「トリップってマジ、ドラッグのことですか?」などと余計なツッコミを入れてしまう俺。
 そうらしいのである。いや、彼の名誉のために言っておくと、ドラッグはどうやら過去形である。彼とは延々音楽の話で盛り上がった。
 山中湖村の人口は6千人足らずだ。
 トリップな彼に「ヤギヤスオって人、知ってる? 私は夜ごと山中湖のことを知りたくて、ヤギヤスオさんのツイッターを開いて読むのが3年来の習慣なんだ……」と問うと、「もちろん知ってる。犬友だちだ。音楽とイラストの大家だよ」と応じた。本当に小っぽけな過疎村だ。
 彼も酒が好きなようだった。グラスに4杯くらい飲んだところで帰ると言い出したので、私も一緒に帰ることにした。
「アニキ−、もうちょっといてよ、寂しいじゃない」と友人はわめくのだが、それって井川遙に似た女から言われるのならともかく、いい歳のオッサンからだと気持ち悪い。
 また来週、来るから、ときっぱり言って、家をあとにした。
 実は来週、つまり今週末、友人宅1階の陶芸アトリエがオープンする。そこでカフェも開きたいという夢を友人(夫妻)は持っている。ゆえに、私が材料費自分負担で、来たお客さんに「無料コーヒー」を出してあげよう、と昨年から申し出ていたのである。
 一杯一杯、豆を挽いて、心を込めてドリップで淹れる。
 普段私が飲んでいる程度の豆でしかないけれど、東京の平均的なカフェと遜色がないコーヒーをただで飲んでいただく、というのは、私の希望でもある。富士山の水は美味しい。だから上等ではない豆であっても、丁寧に淹れると銀座の老舗程度の味は出せる。
 たくさんの人にコーヒーをふるまうことができればいいな。彼の店にとっても。
 ということで、夜の大雨の中でクルマを運転して帰った。雪でなかったのが幸いとも言えるし、前がよく見えないほどの豪雨は不運だったとも言える。
 帰宅して入浴。温かい湯が疲れた体に染み入った。
 
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年04月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30