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2017年04月18日07:19

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雪村

前日に見た海北友松の視線で鑑賞しました。
だってね、《百馬図帖》の馬とか友松の《放馬図屏風》に、もうそっくり。


雪村〜奇想の誕生〜
@東京藝術大学大学美術館
フォト



雪村周継。
伊藤若冲や曽我蕭白といった奇想の画家のルーツともみなされる絵師です。
生きたのは戦国時代の関東。佐竹氏の長男として生まれながら禅僧となり
50代には会津の芦名盛、60代には田村氏の三春と居を移し
画僧として80代後半で郡山に没しました。

今回の展覧会は展示替(4/25)をはさんで本人作品99点、関連作品36点という充実したものです。

ほとんどは墨一色の水墨画です。



◆展示室に入るとすぐに

《欠伸布袋・紅白梅図》(茨城県立歴史館)

があります。
スタイルが確立した小田原鎌倉時代の作品ですが
手前に尾形光琳の《紅白梅図屏風》が透ける素材で吊るされ、重ねて見られるようになっています。
雪村に私淑していた光琳、なんとこの二つの作品は構図や梅の枝ぶりが共通するというのですね。
ドラマチックな演出です。
その後は時系列に沿った展示。

◆初期の作品では
《柳鷺図》(静嘉堂文庫美術館)
が美しい。水辺の雪景色に柳に鷺。のちの雪村からすると「らしくない」ほどの静かな世界です。
しかし技法の確かさ、そして一羽がはばたくさまを正面から描く大胆さ、やはり雪村です。

◆フライヤーメインビジュアルの

《呂洞賓図》(大和文華館)

は「雪村芸術の絶頂期」として「欧州滞在」コーナーにあります。
龍にのり天の龍とひんむいた目で睨みあう呂洞賓。手にした壺からも子龍が幽鬼のようにたちのぼります。
翻る衣、画面の風がこちらまで吹いてくる。

もうひとつのメインビジュアル《琴高仙人・群仙図》は4月25日からの展示です。

◆晩年の作品では

《瀟湘八景図》(永青文庫)

がよかった。屏風から絵巻まで雪村は数々の瀟湘八景を描いていますが
これは一幅に月・雪・雨・雁・舟・馬・網など全ての要素がコンパクトにおさまっている。
凝視するとぶわっと世界が拡がって。
さすが永青文庫はいいもの持ってるな。

◆最後の作品も個性的です。英語の説明が分かりやすい 。
moonlight refrecting on the water
《*底月図》(大和文華館)

◆展示室の最後で雪村作品の特徴をテーマ毎にまとめたVTRを流しています。

・吹き荒れる風
・意思を持つ波
・天を仰ぐ人々
・覆い被さる岩
・触れ合う視線

これもよかった。


5月21日まで。
8月1日から滋賀のMIHO MUSEUM に巡回。
http://sesson2017.jp/outline.html

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チケットはブラックサンダーつきでした。
フォト


(写真背景は藝大食堂)
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