海北友松

開館1時間前に並び、開門するや講演会の整理券待ち列へ直行。
38分後には11時から配布の整理券列が定員数200に達しましたので、一通り展覧会場を見てから…では間に合わないところでした。

恐るべし井浦新。

学芸員さんまで
「井浦新さんと明治大学の先生と当館学芸部長の座談会です」
と説明していましたからね。
あらあら、山下裕二先生の方がメインでは！？(笑)



開館120周年記念特別展覧会
〜武家に生まれ、桃山をいきた。〜
海北友松
@京都国立博物館

整理券をゲットしてから展示室へ。

《龍図》のために照明も落としキャプションも室外、という前代未聞のコーナーなど見所満載です。


そしてただいま必見なのが

《網干図屏風》(宮内庁三の丸尚蔵館)

桂離宮をつくった八条宮智仁親王のために描かれた金碧屏風。
これ、展覧会サイトの画像からは想像もつかないほど素敵です。
浜辺に網が干してあるだけなんだけど…
その繊細さ、遠景の海、浮かぶ帆掛け船…
展示期間が複雑ですが(4/11〜23、5/9〜21)、是非！

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展示室を廻ったあとは
冒頭のイベントに参加しました。

◆日本美術応援団、海北友松を応援する！！◆

山下裕二(明治大学教授)
井浦新(俳優)
山本英男(京博学芸部長)


時代背景として狩野元信や狩野永徳の作品映像をまず紹介。
永徳の《洛中洛外(上杉本)》、晩年の《檜図屏風》
やはりすごい迫力です。

年齢からすると友松は永徳の10歳上になりますが
永徳は狩野派の御曹司ですし師弟関係に不思議はありません。


さて海北友松(1533-1615)は武家の五男として生まれ、
戦乱の世に父や兄弟を失い武士としてたつことを願いながら
いつしか桃山を代表する絵師となりました。



生年/没年こそわかっていますが、画業の前半についてはいまも謎に包まれています。

今回の展覧会ではその謎に迫る資料がいくつも出ていました。

◆例えば
《柏に猿図》(サンフランシスコアジア美術館)
印も落款もありませんが今回初めて友松作品として出ました。
岩の描きかたが柔らかく、没骨画法の多用が友松らしいのだそう。
そもそも手長猿は中国の動物で牧谿(もっけい)の《観音猿鶴図》(国宝・大徳寺)がおおもと。長谷川等伯にも手長猿の絵がありますね。
山下「等伯の手長猿を友松は見ていると思う」

◆また、《源氏物語絵詞》(早大図書館)も初お目見え。
はっきり友松筆と書いてある！のですが詞書のみ、残念ながら絵は行方不明です。
山本「ネットで見つけました。展覧会に出せば(切り取られた絵が)出てくるのでは？と期待しています」

◆さらに妙心寺から今回でた《屏風画料請取状(妙心寺宛)》。
大変珍しい絵の代金の領収書です。
三枚まとめて現在の240万円。安い…

時系列に沿った作品紹介の合間に井浦新さんが発する
一般人目線の質問も面白い。

◆井浦「狩野永徳と長谷川等伯のエピソードは多いですが
友松と等伯のつながりは？」

山本さん答えていわく、友松と等伯では支持層が違うそうです。
等伯が野心的で成り上がろうとギラギラだったのに対して
友松は飄々と、美意識を共有する人たちのために描いていたとのこと。

◆《筑紫道中記》
66歳の友松が石田三成と1ヶ月九州へ旅した時の連歌師兼如による記録です。
友松は"絵を描くことに妙なる人"として出てくる。
井浦「図録に書いてありますがこの旅いいですねえ。
大阪を発って、須磨明石では源氏を偲び
厳島では平家納経を見たりしている。
友松という絵師を演ってみたくなります」
山下「やればいいじゃない」
井浦「悪役じゃない石田三成の話を」
山下「じゃ三成は誰がやる？」
井浦「えーと、オダギリジョーさんとか。面識ないですけど」

◆50枚近いスライドの最後は会場でも最後に一点だけ独立して展示されていた
《月下渓流図屏風》(ネルソンアトキンズ美術館)


朧月にうかぶ水の流れ。
椿、梅と白い花。
全体は墨絵でありながら土筆、タンポポには色がさされています。
限りなく清らかな画面。
友松の絵にはお約束のテーブル型の岩もあります。
右端の梅の枝の切り裂くような鋭さも友松スタイル。


これが京博での最後の仕事？という山本さんの"愛ある展示"でした。


5月21日まで。
http://www.kyohaku.go.jp/jp/special/tenrankai/20170411_yusho.html

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さて京都国立博物館、秋には
◆国宝展(10/3-11/26)
があります。

国宝がずらり200点！？
こちらも必見となりそうです。