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2017年04月01日23:24

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山中常磐

『岩佐又兵衛〜浮世絵をつくった男の謎』(辻惟雄)を読んで 参戦です。 美しさに息をのみました。


奇想の絵師 岩佐又兵衛
山中常盤物語絵巻
@MOA美術館


年度末/年度初めで悪天候の週末。。。
でも3年ぶりの全巻一挙公開となればのがすわけにはいきません。
(フラッシュを使わなければ撮影も出来ます)


岩佐又兵衛(1578-1650)といえば昨年《洛中洛外図屏風・舟木本》が国宝に なったばかり。
荒木村重の子として生まれ、信長によって一族皆殺しになる折りに2歳の彼は からくも西本願寺にかくまわれて生き延びました。
しかしだからといって隠れて生きたわけでもなく、幅広い教養を身につけながら 京都で成人。
ただし士官の道を捨て、母方の岩佐姓で画人となります。
最初は狩野派を学び、海北、土佐、室町水墨画と自在な技術をもっていました。
《洛中洛外図》は京都時代の作品。
30代で福井に招かれて移り住み、松平忠直/忠昌と2人の藩主の時代を過ごす、 《山中常盤》はその忠直時代の作品のようです。
そのほか同時代の《柿本人麻呂・紀貫之図》もMOA所蔵で、今回展示されています。


さてこの絵巻、辻惟雄さんの『奇想の系譜』で存在は知っていましたが
実物をまとめて観たのは初めてでした。
物語は、奥州藤原氏のもとへ行った牛若丸を訪ねて都をたった母の常盤御前が
道中の宿で盗賊に殺され、牛若丸が仇を討つというもの。
これが12巻、150mの作品となっています。
常盤の殺害シーンや牛若の敵討ちシーンのエグいほどのリアルさが 特異である、というのが事前知識。


さて実物を見ての感想。

色彩の鮮やかさに驚きました。
なるほど人物は豊頬長頤(ほうきょうちょうい)といわれる下膨れのアゴ長です。
でもけっしてみにくくはない。牛若を案ずる常盤など気品すら感じる。
そして、きものの柄、調度などハッキリとした原色と細密な文様。
たなびくようにはかれた金と銀。
豪華です。


私が色彩的に好きだったのは牛若を訪ねてゆく常盤のこのシーン。
水と水際の美しさといったらありません。
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そして常盤の殺害シーンでも、時系列にしたがって
同じ場面でも道具立てや色彩を微妙に変えている。
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絶命した常盤の顔の可憐さも理解しました。 牛若丸が15・6歳だから常盤も若いものね。


絵巻の後半は「又兵衛工房」によるもので本人の筆でないとも いわれていますが、
私にはそれほどの違いはわかりませんでした。
全巻展示といっても150mすべてを広げているわけではないのですが
夢枕にたつ常盤とか、仇討後のあとかたづけとか
みたことのない場面がいろいろみられました。
そうそう、盗人への罠をしかける牛若が大名逗留をよそおって宿屋に
ならべたてた道具類のなかに不思議な調度品があったな…あの模様なにかしらん。


そのほかの又兵衛作品としては
《官女図》《寂光院図》《伊勢物語図》
そして最晩年の又兵衛を描いたとされる 《自画像》



常設展示室には 横山大観、河合玉堂、小林古径、前田青頓とこちらもお宝満載。


はっ

と思ったら竹内栖鳳《翠竹野雀》でした。
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4月25日まで。
http://www.moaart.or.jp/events/iwasa/


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