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2016年11月20日22:59

230 view

円山応挙

「鯉」と「木賊(とくさ)兎」目当てで前期に行って来ました。

開館75周年記念特別展
円山応挙
～「写生」を越えて～
@根津美術館

紅葉見頃の晴天の休日、日曜美術館の放映
直後(自分は見てませんが)に・・という
とんでもないタイミングでしたが恐れたほどの混雑ではありませんでした。

円山応挙(1733～95)は京都画壇ルネサンスの中核的画家で
同時代に

・伊藤若冲(1716～1800)
・池大雅(1723～76)
・曾我蕭白(1730～81)
・長沢芦雪(1754～99)

などがいます。(芦雪は弟子)
そのなかでも応挙は圧倒的な人気がありました。
人柄もよかったのかしら。
主なパトロンは三井寺円満院の祐常門主、三井家など。
本展はその画業を47点（展示替えあり）でヴァラエティ豊かにたどっています。
みてよかった！と思うものいくつか。

【めがね絵】

もっとも初期の作品として《四条河原夕涼図》が出ています。
制作年が1751～64といいますから、20代の作品です。
もともとオランダ渡来で、凸レンズをはめた箱（のぞきからくり）の中に入れて立体画像を
楽しむためのもので、「めがね絵」といいます。
西洋風の遠近法！を取り入れた詳細な絵。今回の展覧会前に発見されたそうです。

【写生帖】

30代・修行時代の写生帖が４点。
なかでも、㈱千總所蔵の図巻が重文だけあって美しい。
毎週ページ替えするそうなので、近ければそのたびに行きたいくらいです。
もとより応挙は写生を重視したことで知られています。
それまでの日本画における「本画」のための「下絵」でなく、自然を忠実に写すこと
の第一人者であったことの何よりの証拠でしょう。

【牡丹孔雀図】

宮内庁三の丸尚蔵館所蔵。前期（11/27まで）しかでていません。
豪華で、たっぷりして、孔雀の重みまで伝わってきます。43歳の作品。

【雨竹風竹図屏風】

京都・円光寺所蔵。重文。６曲１双の墨絵屏風。
右双で雨にうたれる竹群を長めの葉で描き、
左双で風に吹かれる竹群を短めの葉を散らして描く。43歳の作品。

【藤花図屏風】

今回のメインビジュアル作品。重文。
根津美術館所蔵なので季節にはいつも出ているのでしょうか。
幹や枝は「つけたて」で大胆に。花は「西洋の印象派のよう」という説明。
金地で琳派のような装飾性も感じられます。これも43歳の作品。この年すごいですね。

【雪松図屏風】

そして国宝。三井記念美術館所蔵。53歳の作品。
淡い金泥、金砂子で雪晴れの朝の光を表しています。
応挙は白くぬりのこすことで松に積もった雪を描く名手ですがその集大成というか。
屏風であることを存分に活かして飛び出すような右隻から引き込む左隻へのうねり
向かい合った部分の「間」。

今回《竹》《藤》《松》がずらりと並んで圧巻です。

【鯉】

鯉は滝を遡って龍となる、ということで立身出世の吉祥意匠として描かれてきました。

今回前期(11/27まで)に出ている京博の《龍門図》(1793)は三巾で中央に滝を昇る鯉が背中から描かれています。
かすかにくねらせた尾や鱗に薄くはかれた金が見え
大乗寺の影のような鯉(1789)より実体がある感じ。
いったいいつ龍になるのかと思っていましたが、どうやら昇りながら徐々に変じていくようですね。
こちらの方が後年の作だというのは意外。
どちらが好きかは好みでしょう。
(大乗寺→ http://museum.daijyoji.or.jp/03mokuro/03_02/03_02_03.html )

12月18日まで。
http://www.nezu-muse.or.jp/sp/exhibition/

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鑑賞のあと、お庭を散策。

紅葉が見事でした。