営業の合間にたまたま時間ができて何も知らずに神宮球場に入ったとしたら、この試合が優勝決定戦だと気づく人は少ないだろう。
日大と東洋の最終週は日大が1勝でもすれば優勝、東洋は2連勝で勝ち点を上げればプレーオフに持ち込める。優勝の可能性はこの2校だけ・・・
しかしいつも東都だった。まばらな観客、楽器が足りないブラバン、野球部の控え部員と揃わない応援・・・・
日大の応援席には演台すらない。学生野球の時だけ学生によって組み立てられる団長がエールを切るあの舞台がないのだ。
それでも、いつもと少しだけ違うのは・・・・
そのまばらなスタンドに赤い色が少なからずあったことか・・・・
試合はあっさりと東洋が先制した。初回2死後中川君が安打で出ると4番の笹川君が左中間スタンドへ運んだ。
5回には犠牲フライで東洋が追加点を奪う。
一方日大はまったく覇気がない。7回を終わって3−0・・・・
それだけではない。日大のチャンスはほとんどなかったのだ。2回の1死2塁ではドラフト指名を受けた京田君が併殺、6回には京田君はボテボテの内野安打で出塁したが盗塁死・・・
7回までは4安打でまったくやる気すら見えなかった日大。
だが・・・
8回裏、1死後この試合初めての連打が出て2死2・3塁で京田君・・・・
しかし、ここでは死球・・・・大がかりなブーイングが上がる。
満塁でその後に代わった投手から日大は四球を選び、限りなくエラーに近いショートへの内野安打で2点を返す。
9回には習志野の木村君が押さえて最終回・・・・
安打、送りバント、安打で1死1・3塁だった。外野は深い。しかし、日大の上川畑の打球は右中間を破り、長浜君の叩きつけた打球は全身守備のワンバウンドで2塁手の頭を超えた。
逆転サヨナラ・・・・そして、優勝・・・・・
神ってるのは広島カープだけじゃない。折しも日大もチームカラーは赤、神宮のスタンドはカープとは比べ物にならないほど少なかったが、それでもこんなに声が出るんだと思わせるほど大きな声援が響き渡った。
2016年10月25日 東都大学野球秋季リーグ戦(於 明治神宮野球場)
東洋
200 010 000 = 3
000 000 022 = 4
日大
(日大は2004年の春以来23シーズンぶり25回目の優勝)
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