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2016年10月23日00:28

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カンブルラン 読響 五嶋みどり

(10月19日、サントリーホール)
 カンブルラン指揮読響と五嶋みどりの共演。みどりは、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲と、日本初演のヨハネス・マリア・シュタウトのヴァイオリン協奏曲「オスカー」の2曲を弾く大活躍。コルンゴルトは、ハイフェッツともパールマンとも全く異なる(当たり前だが)、彼女独特の世界。「オスカー」は、初演を弾いた五嶋みどりに作曲者が献呈した。繊細さと、強靭さを併せ持つ素晴らしい作品であり、超名演だった。

 コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲は全く別の作品のように聞こえた。最近の五嶋みどりの特長である弱音で弾くヴァイオリンは、協奏曲でも同じで、聴き手はひたすら集中を強いられる。その集中度のピークは第2楽章の弱音器を使った部分で、息苦しさを覚えるほど。他のヴァイオリニストの演奏で聴くコルンゴルトとはずいぶん違い、映画音楽的な甘さとは無縁の、純粋器楽曲のような印象を持った。カンブルランと読響の豪華なバックは五嶋みどりの行き方と違うが、オーケストラの総奏でもヴァイオリンの邪魔をすることはなく、カンブルランのオーケストラ・コントロールが良いことを示していた。
シュタウトのヴァイオリン協奏曲「オスカー」は打楽器の使い方がユニークな繊細な作品。耳の肥えた保守的な聴衆にもなじめる響きもあり、背景にヨーロパの伝統や文化を感じさせる。非常に才能ある作曲家だと思う。作品の繊細さと強靭さは、五嶋みどりの特長と合致している。カデンツァの迫力と、最後にヴァイオリンの音が上昇していくさまが印象的だった。
デュティユーの交響曲第2番「ル・ドゥーブル」は、12人からなる小オーケストラが指揮台を取り囲み、その輪の外を通常のオーケストラが囲む。ふたつは重なり、時に絡んでいく。色彩感のあるカンブルランの指揮はいつもながら冴えていたが、カンブルランならもっとできるのでは、という不満は残った。まとまってはいるが、もうひとつ突き抜けた思い切りのよさがなかった。なお、最初に、シューベルト(ウェーベルン編)の「6つのドイツ舞曲」も演奏された。
 
終演後、五嶋みどりの「ミート&グリート」があり、ご本人に23年前、ニューヨークのイタリアン・レストラン「パリオ」でご馳走になった際、皆と一緒に撮った写真を、やっとお渡しできた。そのときの思い出は、ブログに書きました。

http://ameblo.jp/baybay22/entry-11845217880.html
シルヴァン・カンブルラン(c)読響 (c)五嶋みどり:Timothy Grrenfield-Sanders

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