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2016年09月20日23:49

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読書三昧の準備 東野圭吾『危険なビーナス』

日本で買い集めたSF古本&新本は、3月の日本縦断と4月5月の北米周遊のあいだ、大阪の家で眠っていた。北米から欧州周りでシンガポールに戻ったので、日本に寄る暇がなかった。8月と9月の帰国はミクイベントで忙しく、あまり読書時間が取れず、読んだのは数冊のみ。

今回はごっそり大阪から持ち帰った。その数58冊。稀覯本に属する本からリアルタイムで本屋で買った本までいろいろだが、数冊のミステリを除いてほとんどSFだ。シンガの自室に残っている本も合わせると、70冊ほど。読書にふける環境は整った。ゆっくりやっつけていきます。

「天冥の標」の続きも気がかりだが、やはりリアルタイムのひいき作家から。
・危険なビーナス(16) 作:東野圭吾
獣医を営む伯郎のもとに、何年も交渉のなかった弟の妻だという女性が訪ねてきた。弟が結婚していたというだけで驚きだが、シアトルから帰国直後に新妻を残して失踪したというのだ。伯郎は女性と共に弟の行方を探すことになった。

主人公は複雑な生い立ちで、売れない画家だった父の死後に母が富豪・矢神家の跡取りと再婚している。馴染めなかった義理の父と母の間に生まれたのが、弟の明人である。明人の行方探しのはずが、矢神家の遺産相続の話になり、医学実験データーの行方も関わってくる。幾重にも絡まる謎の提示は魅力的で惹きつけられる。矢神家の面々はいずれもアクの強い曲者ぞろいで、現代的な横溝正史という雰囲気。初対面の魅力的な女性と行動をともにするという趣向は、ウィリアム・アイリッシュばりのサスペンスだ。
終盤まで飽きずに引っ張っていく力量はさすがである。モチーフに理系アイデアが用いられているのも作者らしい。が、結末があまりにも呆気ない。意外性というより、むしろ肩透かしだ。
「只者ではない」と言われた人物は、たしかに只者ではないのだが、こんな安直な。
リーダビリティの高さとアイデアのユニークさは評価しますが。★★★★
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